科学技術振興への資金プロジェクトの開始(1982年~)
資金プロジェクトは、建国以来の組織単位での科学技術資金配分に、テーマによる資金配分を追加するものであり、1982年以降次々と実施された。
文化大革命終了後、中国の科学技術は本格的に発展するが、それを支えたのは研究機関や大学などへの国家による科学技術資金の配分であった。1978年から1985年までの間は、中国はソ連の影響を受けて計画経済を維持しており、国の科学技術への資金配分は研究所や大学という単位(組織)に基づいて実施された。
1982年に国家科学技術委員会と国家計画委員会は、農業、食品、エネルギーおよび省エネルギー技術、原材料、機械、電子設備、交通輸送などの8分野38項目のプロジェクトを選択し、「国家科学技術難関突破計画」を開始した。この国家科学技術攻関計画は、国家が必要性を認めて実施する研究開発プロジェクトであり、その実施は中国の総合的な科学技術計画が体系化してきたことを示している。
1986年、国務院は「科学技術支出管理の暫行規定」を公表し、科学技術経費の支出方式と体制、科学技術プロジェクトの方向性を示した。これを受けて、「国家自然科学基金委員会(NSFC)」が設立されるとともに、「星火計画」、「国家ハイテク研究発展計画(863計画)」、「たいまつ計画」、「国家重点基礎研究発展計画(973計画)」などが相次いで開始された。
これらにより、世界の注目を集める多数の重大な科学研究成果が達成され、多数の高水準のイノベーション的な人材とチームが育成され、経済と社会の発展を制約する多くの技術的な「ボトルネック」が解決され、中国の科学技術イノベーションの全体的な実力が全面的に強化され、中国の改革と発展のプロセスが力強くサポートされた。
参考資料
・JST中国総合研究・さくらサイエンスセンター『中国の科学技術の政策変遷と発展経緯(PDF)』2019年