星火計画の開始(1985年)

 星火計画は、国家科学技術委員会が1985年に開始した農村の技術向上と農村企業の支援に特化したプログラムであり、農村の活性化に貢献するものである。

策定経緯と発展段階

 1980年代、中国では農村の改革が行われ、人民公社が続々と解体され農村企業(中国語では「郷鎮企業」)が急増した。その結果、農業技術人材が不足し、いかに農村技術の生産性を向上させるかが急務となった。

 1985年5月、国家科学技術委員会は地方経済を促進する「星火計画:星火计划」実施の指示を国務院に仰ぎ、同年8月国務院は正式に星火計画を承認した。星火計画は、農村の技術向上と農村企業の支援に特化したプログラムであり、農村の活性化に貢献するものである。

 星火計画は、次の三つの発展段階に分けられている。
・1986年~1990年代初頭:農村企業の成長、農村経済構造の転換に向けて、直面する農業技術の支援
・1990年代初頭~2000年代初頭:農村産業の創出と成長、農村経済の成長方式の転換のため、技術型農村企業クラスターの形成に注力
・2000年代初頭~:近代的農業と新型農村の建設に向けて、農村技術の産業化、農村起業環境の整備するために、農村情報化と農村科学技術のサービス業に注力

星火計画の具体的な内容

 星火計画は、国、省・直轄市・自治区、市・県のレベルで実施が行われている。国レベルでは、科学技術部に星火計画事務室を設置し、星火計画の中長期発展綱要および関連政策・戦略を策定し、募集要項を作成するとともに、毎年の目標を設定し、全国の星火計画を指導・調整する。省・直轄市・自治区は星火計画の中長期発展綱要に基づき、各自のミッション、発展計画および年度計画を策定し、管轄下の星火計画プロジェクトを管理する。各市・県ではそれぞれの年度計画を作成し、星火計画プロジェクトの申請、実施をサポートする。

 資金に関して、国は一般プログラム(面上項目)と重点プログラム(重点項目)を拠出する。一般プログラムは基本的に農村技術成果の橋渡しを支援するボトムアップ式のプログラムで、重点プログラムは国レベルの戦略的プログラムである。いずれも申請主体は農村企業となるが、一般プログラムの場合は国が省・直轄市・自治区から申請書を受付する。一方、重点プログラムは、国は省・直轄市・自治区から推薦を受ける形となっている。

 農村企業クラスターの形成について、中央政令という形で各省・直轄市・自治区の経済と社会発展計画(地方行政の基本政策)に指定し、各地の財源でクラスターを建設することとなっている。各地のクラスターは国の審査を経て、合格したものは「星火科技示範区」と認定される。

 星火計画は中央政府が全体の制度をデザインし、各省・直轄市・自治区により各自の状況に合わせて実施されている。政策の成果に関する国全体の統計が存在しないが、山西省の成果を例として説明したい。1986年~2006年、山西省は星火計画に160億元を投入し、11,683のプロジェクトを支援した。支援された農村企業は665億元の付加価値を創出し、206億元の税金を納めた。この20年間で延べ900万人の農民を対象として技術研修を行った。また、クラスターの建設により、複数の納税規模が1,000万元以上のクラスターが形成され、農民出身の企業家が数多く育成された。

 星火計画は農村の技術向上と農村企業の支援に特化したプログラムであり、農村の活性化に大きく貢献している。

参考資料

・百度HP 『星火计划 (中国依靠科学技术促进农村经济发展的计划)