2023年までの、日本人科学者と中国系科学者のノーベル科学3賞での受賞者比較を示す。

1. 日本人のノーベル賞受賞者

 外国籍を取得している人を含めた日本人のノーベル賞(生理学医学、物理学、化学の3賞)受賞者は、次の24名である。

 このうち、受賞時に米国籍であったのは、南部陽一郎、中村修二、真鍋淑郎の3名であるが、中村修二の業績は日本国内でのものである。利根川進、根岸英一の2名は米国等での研究成果により受賞しているが、国籍は日本であった。江崎玲於奈はソニーでの研究成果で受賞しているが、受賞時の所属は米国企業であり、国籍は日本であった。

・1949年 物理学賞  湯川秀樹 京都大学理学部教授

・1965年 物理学賞  朝永振一郎 東京教育大学教授

・1973年 物理学賞  江崎玲於奈 米国IBMワトソン研究所主任研究員(受賞時)

・1981年 化学賞   福井謙一 京都大学工学部教授

・1987年 生理学・医学賞  利根川進 米国MIT教授(受賞時)

・2000年 化学賞   白川英樹 筑波大学名誉教授

・2001年 化学賞   野依良治 名古屋大学理学部教授

・2002年 物理学賞  小柴昌俊  東京大学名誉教授

・2002年 化学賞   田中耕一 島津製作所フェロー

・2008年 物理学賞  南部陽一郎 米国シカゴ大学名誉教授(受賞時:米国籍)

・2008年 物理学賞  小林誠 高エネルギー加速器研究機構名誉教授

・2008年 物理学賞  益川敏英 京都大学名誉教授

・2010年 化学賞   根岸英一 米国パデュー大学特別教授

・2010年 化学賞   鈴木章 北海道大学名誉教授

・2012年 生理学・医学賞  山中 伸弥 京都大学教授

・2014年 物理学賞  赤﨑 勇 名城大学教授

・2014年 物理学賞  天野 浩 名古屋大学教授

・2014年 物理学賞  中村修二 カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授(受賞時:米国籍)

・2015年 物理学賞  梶田隆章 東京大学教授

・2015年 生理学・医学賞  大村 智 北里大学特別栄誉教授

・2016年 生理学・医学賞  大隅良典 東京工業大学特任教授

・2018年 生理学・医学賞  本庶 佑 京都大学特別教授

・2019年 化学賞   吉野彰 旭化成名誉フェロー、名城大学教授

・2021年 物理学賞  真鍋淑郎 プリンストン大学上席研究員(受賞時:米国籍)

2. 中国系研究者のノーベル賞受賞者

 台湾、香港を含む中国系の研究者のノーベル賞(生理学医学、物理学、化学の三賞)受賞者は、次の7名である。

 このうち、中国での業績で受賞したのは屠呦呦のみであり、それ以外の6名は全て米国における研究業績により受賞している。また受賞時の国籍が中華人民共和国国籍であった研究者も、屠呦呦のみである。

・1957年 物理学賞 楊振寧(Chen-Ning Yang)プリンストン高等研究所(受賞時:中華民国籍)

・1957年 物理学賞 李政道(Tsung-Dao Lee)シカゴ大学教授(受賞時:中華民国籍)

・1976年 物理学賞 丁肇中(Samuel C.C.Ting)MIT教授(受賞時:米国籍)

・1986年 化学賞  李遠哲(Yuan Tseh Lee)カリフォルニア大学バークレー校教授(台湾出身、受賞時米国籍)

・1998年 物理学賞 崔琦(Daniel Tsui)プリンストン大学教授(受賞時:米国籍)

・2009年 物理学賞 高錕(Charles Kuen Kao)香港中文大学(香港出身、受賞時:米国・英国籍)

・2015年 生理学・医学賞 屠呦呦 中国中医科学院研究員

3. 簡単な考察

 日本と中国のノーベル賞受賞者を比較すると、まず受賞者数で24名と7名と、かなり差がある。

 また、受賞理由となる研究業績は、日本の場合にはほとんど日本国内でのものであるのに対し、中国の場合には基本的に米国でのものである。

 受賞者が受けた高等教育まで遡って見ても、日本の場合には博士課程まで日本で学んだ人が多く、中国の場合には大学院から米国で学んだ人が多い。