1. 教育制度全般

 中国での義務教育は、6年制の小学校と3年制の初級中学の9年間であり、日本と同様である。
 初級中学終了後、普通教育を行う高級中学で中等教育が行われる。高級中学は日本の高等学校に対応し、修業年限は3年である。これとは別に、職業教育を中心とする職業中学などもある。
 大学を含む高等教育は、高級中学卒業後に開始される。

 下図は、中国の教育制度全般の模式図である。

中国の学校教育制度の模式図
出典:文部科学省「諸外国の教育統計(令和4年版)」

2. 大学と大学院

 大学は、国の定める設置基準によって設立され、全国普通大学統一テスト(高考と呼ばれる)に合格した高級中学卒業生を対象としている。

 中国の大学は、次の3種類に大別される。
○大学(本科):本科大学とも呼ばれ、基本的な終了年限は4年ないし5年である。修了した後、学士の学位を取得することができる。
○大学(専科):専科学校とも呼ばれ、基本的な終了年限は2年ないし3年である。
○職業技術学院:「医学高等専科学校」、「師範専科学校」など、日本でいう専門学校に相当する教育機関で、終了年限は2年ないし3年である。

 大学院(修士課程、博士課程)については、大学(本科大学)で学士を取得した後、全国研究生入学テストを受験し、進学する。修士課程の終了年限は2年ないし3年であり、博士課程は3年ないし4年である。なお、修士や博士を養成する機関は、大学だけではなく、中国科学院、中国社会科学院などの研究所も認定されている。

3. 大学の数

 成人教育を主体とする成人大学を除いた中国の高等教育機関の数は、1980年代から2000年まで、おおよそ1,000校で、ほとんど変化がなかった。

 しかし、1998年に公表された「21世紀に向けた教育振興行動計画」において、同年の大学進学率9.8%を2010年までに15%に引き上げることが目標とされ、政府主導で大学整備が進められたため、大学数が大幅に増加した。さらに急激な経済成長で拍車がかかった。

 この結果、2019年時点で大学を含む高等教育機関の総数は2,688校であり、このうち大学(本科)は1,265校(全体の47.1%)、大学(専科)と職業技術学院は1,423校(全体の52.9%)となっている。この数字は、米国の4,042校には及ばないが、日本の高等教育機関の総数の1,175校の約2倍である(文部科学省「諸外国の教育統計・令和4年版)。

 下図は、2020年までの日本と中国の高等教育機関数の比較である。

高等教育機関数の日中比較
高等教育機関数の日中比較 アジア・太平洋総合研究センターの「中国科学技術概況2021」より引用

4. 大学の所管

 中国では、中華人民共和国高等教育法の規定により、国務院教育部が大学の設置についての認可権限を有している。
 教育部は、76校(2022年現在)に上る大学を直属大学として所管しており、これらはいずれも中国の主要大学となっている。北京大学、清華大学、浙江大学、上海交通大学など著名な大学は、ほぼ教育部直轄大学である。

 さらに中国では、1949年の新中国成立以降、中国共産党、人民解放軍、中央政府の各部門などで必要な人材を養成確保することを目的として、独自に大学を設置している。このうちで教育部以外の部門が所管する大学は、41校(専科も含む、2022年現在)存在している。所管部局毎の大学数や主要大学は次の通りである。

○人民解放軍の装備などを担当する工業・情報化部は、ハルビン工業大学、北京航空航天大学、北京理工大学など7つの大学を所管しており、これらの大学は「国防七子」と呼ばれる。

○中国科学院は、中国科学技術大学、中国科学院大学を所管している。

○人民解放軍を指導する中央軍事委員会は、国防科技大学、国防大学を所管している。

○日本の旧厚生省に当たる国家衛生健康委員会は、北京協和医学院を所管している。

○そのほか、国家民族事務委員会(6)、僑務弁公室(2)、公安部(5)、国家移民管理局(2)、体育総局(1)、交通運輸部(1)、中国民用航空局(2)、司法部(1)、中国共産党中央弁公庁(1)、外交部(1)、中国社会科学院(1)、海関総局(1)、応急管理部(2)、中国地震局(1)、中華全国総工会(1)、中華全国婦女連合会(1)、国家安全部(1)となっている。

 これら国が直轄する大学を除くと、ほとんどが省や直轄市などの地方政府が所管する大学である。

 中国においても私立大学は存在しているが、その比率は全体の28.1%であり、日本の78.6%と比較して私立大学の役割は低く、レベルもそれほど高くない。