1. 学生数

 中国の大学生数は、政府主導で大学整備が進められた1998 年を境に、顕著な増加傾向を示している。大学の毎年の入学生規模は1987 年から1997 年までの10 年間に、約62万人から約100万人へ年平均6.2%の割合で着実に増加してきたが、1999 年から増加率が高まり、1998 年の約108万人が2008年に約608万人へと約5.6 倍に急拡大した。

 その後も中国では学生数の大幅拡大が続いており、直近の2020年での学部在学生は約3,285万人、大学院在学生は約314万人で、合計約3,599万人に達し、2008年の約5.9倍となっている。日本の学部在学生は2022年で約263万人、大学院在学生は約26万人で、合計約289万人であり、現時点で中国は日本の約12.5倍の在学生規模を有している。

 次の図は、2019年までの学部学生数の日中比較である。

学部学生数の日中比較 アジア・太平洋総合研究センターの「中国科学技術概況2021」より引用

 また次の図は、2019年までの大学院学生数の日中比較である。

大学院学生数の日中比較 アジア・太平洋総合研究センターの「中国科学技術概況2021」より引用

増加しており、博士課程学生を除いて全て女性の方が比率が高い。

中国の高等教育機関における女性の比率の推移 アジア・太平洋総合研究センターの「中国科学技術概況2021」より引用

2. 学年制度

 中国の大学では、一般に前期・後期の2学期制を採用している。新学期は9月に開始され、翌年の春節(旧暦の正月)前に休暇に入る。春節後に後期の学期が開始され、6月に後期試験が行われて休みに入り、卒業時期は7月末である。学部教育は4年制(医学部等の専攻によって5年制の場合もある)で、学業成績が極めて優秀な学生に飛び級が認められる。
 学期中は、月曜日から金曜日までが授業であり、土曜・日曜は休日である。授業のある日は朝8時半から始まり、1コマ1時間半の授業が午前2回、午後2回ある。

3. 学位

 中国では、学位を「学士」、「修士」、「博士」の3 種類に区分し、国務院に設置された「学位委員会」が全国の大学等による学位授与を管理している。「学位委員会」は、一定の条件を備えた大学や科学研究機関に対して学位授与権限を付与している。学位授与機関として認められた大学等は、「学位評定委員会」を設置するとともに、学位論文を審査する「学位論文答弁委員会」を組織して審査を行う。修士や博士を養成する機関として、中国科学院 、中国社会科学院などの研究所も認定されていることは、すでに述べたとおりである。

4. 学費

(1)沿革

 1949年の新中国成立以来、大学を中心とした高等教育は全額公費負担により運営が行われ、学生は学費が免除となるだけでなく、政府から生活費の一部に充当する目的で「助学金」が支給され、医療費の免除等の特典が与えられていた。

 1980年代に入り経済社会の発展に伴い、従来の大学運営では人材のニーズに対応できなくなり、また高等教育の規模が拡大し学生数が着実に増加したことにより、大学の教育経費を国家財政によって全面的に支えることが徐々に困難となった。そこで政府は1985年に、国家が各大学に割り当てる公費学生の新入生募集枠以外に、各大学が自主的に一定数の自費学生の募集を行うことを認める方針を打ち出した。これを受けて一部の大学では、入試の合格ラインに達しなかった学生の入学を許可する代わりに、学費の一部を徴収する制度の試行を開始し、中国の大学では公費学生と自費学生が併存する形となった。

 当初自費学生の募集枠は公費学生の5%以下とされていたが、入学者数の増加とともに1992年には30%に達した。その一方で、自費学生の入学許可条件として合格ラインに対して20点の不足までとされていた基準が次第に遵守されなくなり、大学によっては合格ラインに100点以上も足りない学生を自費学生として入学させる等、大学の教育水準に影響を与える問題も発生するようになった。このため1998年からは公費学生の制度を廃止し、師範大学および農林業や鉱業等の一部の職業大学を除くすべての大学で、新入生に対して学費が原則として徴収されるようになった。

(2)現状

 北京の一流大学である北京大学や清華大学の授業料は、年間で5,000元(約8万円)である(ここでの数字は2014年時点)。

 他の国の大学における授業料と比較すると、日本の国立大学の授業料は年間約60万円、私立大学や約120万円となっている。また、米国の一流私立大学は約300万円前後の場合が多い(ここでの数字は2014年時点)。したがって、先進国の大学の学費と比較して低いレベルに押さえられており、北京などの都市部の中産階級の子弟にとってはそれ程重い負担ではない。
 ただ、所得格差のある地方出身者にとっては重い場合も想定され、各大学ではこれらの学生に対する奨学金制度を充実させている。さらに、理科系の博士課程に進む大学院生の場合、奨学金や所属研究室からの援助で、授業料は払っていない場合がほとんどである。

 学費徴収に関し、現在では日本と中国で制度的に変わらないように見えるが、科学技術に関係する学生では大きく違っている。中国では、有力大学の工学関係や理学関係の学生は、大学院生を中心に学費が免除され、さらには生活費の支給も行われている場合が多い。これは、研究室が政府や民間企業から研究費を獲得し、研究室に所属して研究や実験を手伝う大学院生や一部学部学生に対して、獲得した研究費から学費や生活費として支弁するのである。