概要

 鄭州大学(郑州大学、Zhengzhou University)は、河南省にある中国有数のマンモス大学であり、双一流建設政策にも選定された国家重点大学である。

鄭州大学の写真
鄭州大学 同大学のHPより引用

1. 名称と所管

(1)名称

・中国語表記 郑州大学   略称 郑大
・日本語表記 鄭州大学  
・英語表記 Zhengzhou University 略称 ZZU

(2)所管

 国務院教育部と河南省人民政府が共同で管轄する大学である。

2. 本部の所在地

 鄭州大学の本部は、河南省鄭州市高新技術開発区科学大道100号にあり、主校区(メイン・キャンパス)と呼ばれている。

 河南省は中国大陸の中央に位置し、北部は河北省・山西省、東部は安徽省・山東省、西部は陝西省、南部は湖北省と接している。地域の大部分が黄河の南にあるため河南と称された。
 古代の中原の中心地であり、中国のなかでも歴史のある地域とされている。古くは3,500年前に栄えた殷の時代から、現在の安陽市、鄭州市、洛陽市、開封市などに王朝の都が置かれた。
 河南省の人口は約1億人(2020年、中国第3位)である。

 鄭州市は、河南省のほぼ中央に位置する同省の省都であり、市内北部を黄河が東西に流れる。北京市から見て南西約700キロメートルに位置している。隋の時代に鄭州と呼ばれるようになった。
 人口は約1,300万人(2023年)である。鄭州市は、中国大陸の東西・南北の交通拠点として商業で発展してきたが、近年は繊維、機械、アルミ建材、鉱業などが盛んである。

鄭州市の市街の写真
鄭州市 新区高鉄西広場  維基百科HPより引用

3. 沿革

 鄭州大学は2000年に、河南医科大学、旧鄭州大学、鄭州工業大学の3校が合併して成立した。

(1)河南医科大学

 河南医科大学の前身は、1928年に河南省開封市に設置された医科大学である河南省立中山大学である。1930年には、河南省立河南大学と改名し、その後現在の第一附属医院や第二附属医院を設置した。また、医学院以外の他の学部も設置した。

 中華人民共和国建国後に、大学・学部の再編政策である院系調整が実施され、河南大学医学院は河南医学院として独立した。河南医学院は、1957年に開封市から鄭州市に移転した。1984年には、名称を河南医科大学とした。

(2)旧・鄭州大学

 合併前の鄭州大学は、1956年に中央政府により設置された大学である。1991年には、同じ鄭州市にあった黄河大学を併入した。

 1996年には大学重点政策である211工程の対象大学となった。

(3)鄭州工業大学

 鄭州工業大学は、国務院にあった化工部(化学工業を所管する省)の直属大学として、1963年に鄭州に設置された鄭州工学院が前身である。

 1996年に、名称を鄭州工業大学とした。

(4)新たな鄭州大学へ

 2000年7月、河南医科大学、旧鄭州大学、鄭州工業大学の3校が合併し、新たな鄭州大学となった。

 2017年に開始された双一流建設政策において、鄭州大学は一流大学建設A類の対象大学となった。 

4. 規模

(1)規模のデータ

 鄭州大学は、中国の主要大学の中でもマンモス大学の一つである。具体的な数値で見たのが下表である。

 鄭州大学中国第1位の大学 
学部学生数47,000名(1位)鄭州大学詳細データ
大学院生数24,000名(14位)中国科学院大学 57,375名詳細データ
専任教師数3,563名(11位相当)吉林大学 6,506名詳細データ
総予算31.23億元(74位)清華大学 362.11億元詳細データ
留学生数2,130名(14位)北京大学 6,857名詳細データ

(2)キャンパス

 鄭州大学は、本部のあるメイン・キャンパスのほか、同じ鄭州市内に南、北、東の3つのキャンパスを有している。

(3)学部

 鄭州大学は、国務院教育部が定めている12の大分類(日本の大学の学部に相当)について、芸術や農学を含めて全てを有する総合大学である。

(4)附属医院

 鄭州大学の医学部は河南医学院と呼ばれており、そのHPによれば、下記の附属医院を有している。
 ・第一附属医院
 ・第二附属医院
 ・第三附属医院
 ・第五附属医院
 ・人民医院
 ・附属小児医院(附属儿童医院)
 ・華中心臓血管病医院(华中阜外医院)
 ・附属がん医院(附属肿瘤医院)
 ・附属鄭州センター医院(附属郑州中心医院)
 ・附属洛陽センター医院(附属洛阳中心医院)
 ・附属胸科医院
 ・附属精神科医院(附属脑病医院)
 ・附属伝染病医院(附属传染病医院)

5. 研究開発力

(1)研究開発力のデータ表

 鄭州大学の研究開発力を、データとして示したのが下表である。
 このうち、SCI論文数とはクラリベイト社のデータによる論文数、Nature Indexとは世界トップクラスの科学誌・学会誌掲載の論文数による指標、国家自然科学基金委員会(NSFC)の面上項目予算の獲得額である。国家重点実験室は下記(2)、双一流建設政策による学科建設数は下記(3)を参照されたい。

 鄭州大学中国第1位の大学 
SCI論文数18位中国科学院大学詳細データ
Nature Index26位中国科学技術大学詳細データ
国家重点実験室数1か所(43位)清華大学 13か所詳細データ
双一流学科建設数3学科(31位)北京大学詳細データ
NSFC面上項目予算42位上海交通大学詳細データ

(2)国家重点実験室

 鄭州大学にある1か所国家重点実験室は、次の通りである。
  ・食道がん予防・治療国家重点実験室

(3)双一流学科建設

 中国は2017年に、国内の大学とその学科を21世紀半ばまでに世界一流とすることを目標とする政策(双一流建設政策)を開始した。2022年に改訂された双一流建設政策による学科建設において、鄭州大学は以下の3学科が選定されている。
  ○理学系(1) 化学
  ○工学系(1) 材料科学・工学
  〇医学系(1) 臨床医学

(4)NSFC面上項目予算獲得

 日本の科研費に近い予算として、国家自然科学基金委員会(NSFC)が所管する面上項目予算がある。この予算をどの程度獲得するかで、当該大学の研究能力を判定しうる。2019年で蘭州大学は中国全体で43位である。

6. 国内および国際的な評価

 中国の国内と国際的な評価を示したのが下表である。国内では軟科と中国校友会、国際では英国のQS(Quacquarelli Symonds Limited)とTHE(Times Higher Education)のランキングを示した。また、卒業生の中での傑出科学技術人材数の校友会ランキングも、併せて示した。
 これで見ると蘭州大学は、中国国内ランキングで主要大学中50位から60位の位置にある。国際的なランキングには入っていない。

 鄭州大学中国第1位の大学 
軟科ランキング50位清華大学詳細データ
校友会ランキング59位北京大学詳細データ
QSランキングランキング外北京大学詳細データ
THEランキングランキング外清華大学詳細データ
校友会傑出人材51位北京大学詳細データ

7. 特記事項

(1)現学長は女性科学者

 鄭州大学の現在の学長(中国語で校長)は、分子生物学者で中国科学院院士の李蓬(Li Pen)である。

李蓬の写真
李蓬学長 百度HPより引用

 李蓬は、1965年に江西省贛州市寧都で生まれ、北京師範大学を卒業し、米国に留学してカリフォルニア大学サンディエゴ校で博士学位を取得の後、シンガポール国立大学やテキサス大学ダラス校でポスドク研究を行った。その後、香港科技大学などで教職に就いたのち、2006年に北京の清華大学の教授に就任した。

 李蓬は、2022年に鄭州大学学長に任命され、同大学初めての女性学長となった。

 李蓬についての詳しい記事は、今後このHPで取り上げることとしたい。

参考資料

・鄭州大学HP https://www.zzu.edu.cn/index.htm
・鄭州大学・河南医学院HP https://www7.zzu.edu.cn/qyzd/index_01.htm
・百度百科HP 李蓬