国家重点実験室の開始(1984年)

 国家重点実験室は、限られた研究資源や研究人材を特定の実験室に集中させ、世界水準の研究を実施させることを目指し、国務院が1984年に指定を開始した。

国家重点実験室指定の経緯

 改革開放後の中国では、文化大革命により大学や研究機関の施設や装置が破壊されたり、更新されなかったため老朽化したりして、国際的に劣る状況であった。また、大学の入試(高考)が停止され、研究機関も新たな職員の採用が困難であったため、人材養成が大きく後れてしまった。
 このため、国家計画委員会(現在の国家発展・改革委員会)は文革終了後の1984年に、限られた研究資源や研究人材を特定の実験室に集中させ、世界水準の研究を実施させることを目指し、国家重点実験室(State Key Laboratory)の指定事業を開始した。

施策の内容と成果

これら実験室は、中国科学院傘下の研究所や有力大学に設置され、非常に大きな成果を挙げている。現在は国務院の科学技術部がその実務を行っている。2015年末で255の国家重点実験室が、中国全土で指定されている。直接的な予算の規模は、2015年度で総額約40億元である。

 国家重点実験室にならい、政府各部門や地方政府がそれぞれの重点実験室を指定している。中央政府の部門と地方政府が連携した省・部共同建設実験室も設置された。これらの中には、評価を経て格上げされたものもある。

より重点化した国家実験室

 また、国家の重大戦略のニーズに応え、貢献する、より重点的な研究機関として国家実験室も指定されている。最初に国家実験室として指定を受けたものは、1984年に中国科学技術大学に設置された国家シンクロトロン実験室で、2003年までに10か所が指定された。

 その後科学技術部は2006年に10か所、2012年に1か所を指定したが、国家実験室に求められる水準は高くなったため、これら11か所の中では青島の海洋科学・技術国家実験室を除き、具体的な計画を検討中の段階で国務院の正式認可を待っている状況である。

参考資料

・百度HP 『国家重点实验室