概要
雲南大学(云南大学、Yunnan University)は、雲南省昆明市にある大学であり、政府の211工程、双一流建設政策などの大学重点化政策の対象校である。

1. 名称と所管
(1)名称
・中国語表記 云南大学 略称 云大
・日本語表記 雲南大学
・英語表記 Yunnan University 略称 YNU
(2)所管
2. 本部の所在地
雲南大学の本部は、雲南省昆明市呈貢区大学城東外環南路にあり、呈貢校区(呈貢キャンパス)と呼ばれている。
雲南省は、中国西南部に位置し、南部でベトナム・ラオスと国境を接し、南部から西部にかけてミャンマーと接する。北西部はチベット自治区、北部は四川省、北東部は貴州省、東部は広西チワン族自治区と接する。
雲南省は、比較的森林に恵まれ、南部の低地では亜熱帯性気候、北部の高山地帯では亜寒帯性気候と多様である。降水量は中国平均の4倍で、水力発電が盛んである。また、錫、亜鉛、鉛などの鉱物資源に恵まれている。
雲南省の人口は4,673万人(2023年)で中国では12位に位置する。イ族(10.6%)、ハニ族( 3.5%)、ペー族( 3.4%)などの少数民族が3割を超えている。雲南省のGDPは約3兆元(約4300億ドル、2023年)であり、中国では第18位である。省内に、シャングリラ(香格里拉)、シーサンバンナ(西双版納)、麗江古城など著名な観光地を有していて、観光業が盛んである。
昆明市は雲南省の省都であり、人口は約860万人(2022年)である。東、西、北の三方が山で囲まれ、南は広い滇池(てんち、琵琶湖の約半分)に面した海抜約1,900メートルの高原にあり、平均気温14.5℃と穏やかで、古くから「春城」の別名を持つ。

3. 沿革
(1)東陸大学
雲南大学の前身は、1923年に設立された「私立東陸大学(私立东陆大学)」に遡る。同大学は雲南省昆明に設置され、学部は文学と工学の2つであった。東陸の名称は、当時のこの地方の実力者で同大学創設者・唐継堯(唐继尧)の号である「東大陸主人(东大陆主人)」に由来する。
私立東陸大学は1930年に、雲南省の命により「省立東陸大学(省立东陆大学)」となった。1932年に雲南省立師範学院を併合し、文学部の中に教育学科を設置した。
(2)雲南大学
省立東陸大学は1934年に名称を変更して、「省立雲南大学(省立云南大学)」とした。1937年に日中戦争が始まり、清華大学などが雲南省に疎開したことを受けて、著名な数学者である熊慶来が学長(中国語で校長)になった(詳しくは下記7.を参照)。この時期に医学専修科を設置した。
省立雲南大学は、1938年に国立雲南大学となり、文・法、理、工、農、医の5学部体制とした。
(3)院系調整
中華人民共和国建国後の1952年に、中国全土で大学・学部の再編政策である院系調整が実施された。雲南大学は下記の通り大きな影響を受け、文学部と理学部のみの大学に再編された。
・法律や政治学の学科は重慶大学や四川大学などの関連学科と統合され、西南政法学院(現在の西南政法大学)となった。
・工学関連のほとんどの学科は1954年に独立し、昆明工学院(現在の昆明理工大学)となった。
・医学部は1956年に独立し、昆明医学院(現在の昆明医科大学)となった。
・農学部は1958年に独立し、昆明農学院(現在の雲南農業大学と西南林業大学)となった。
(4)再び総合大学へ
文化大革命が終了し、雲南大学は1978年に全国で88か所指定された重点大学の一つとなり、院系調整で失った学部や学科の回復を目指すことになる。
雲南大学は1997年に、国の大学重点化政策である211工程に採択された。
雲南大学は2004年に、国務院・教育部と雲南省人民政府による省部共建高校となった。
雲南大学は2017年に、国の大学重点化政策である双一流建設政策に採択された。
4. 規模
(1)規模のデータ
雲南大学の規模について、具体的な数値で見たのが下表である。
| 雲南大学 | 中国第1位の大学 | ||
| 学部学生数 | 17,000名(75位) | 鄭州大学 | 詳細データ |
| 大学院生数 | 13,500名(50位) | 中国科学院大学 57,375名 | 詳細データ |
| 専任教師数 | 2,015名(ー) | 吉林大学 6,506名 | 詳細データ |
| 総予算 | 35.94億元(62位) | 清華大学 362.11億元 | 詳細データ |
| 留学生数 | 1,545名(23位) | 北京大学 6,857名 | 詳細データ |
(2)キャンパス
雲南大学は、本部のある呈貢キャンパスのほか、同じ昆明市内の五華区翠湖北路2号に東陸(东陆)キャンパスを有している。
(3)学部
雲南大学は、国務院・教育部が定めている12の大分類(日本の大学の学部に相当)について、芸術、医学、農学を含めて全てを有する総合大学である。
(4)附属医院
雲南大学の医学院は、下記の附属医院を有している。
・雲南大学附属医院(雲南省第二人民医院)
5. 研究開発力
(1)研究開発力のデータ表
雲南大学の研究開発力を、データとして示したのが下表である。
このうち、SCI論文数とはクラリベイト社のデータによる論文数、Nature Indexとは世界トップクラスの科学誌・学会誌掲載の論文数による指標、国家自然科学基金委員会(NSFC)の面上項目予算の獲得額である。国家重点実験室は下記(2)、双一流建設政策による学科建設数は下記(3)を参照されたい。
| 雲南大学 | 中国第1位の大学 | ||
| SCI論文数 | ランキング外 | 中国科学院大学 | 詳細データ |
| Nature Index | 73位 | 中国科学技術大学 | 詳細データ |
| 国家重点実験室数 | なし(ランキング外) | 清華大学 13か所 | 詳細データ |
| 双一流学科建設数 | 2学科(38位) | 北京大学 | 詳細データ |
| NSFC面上項目予算 | ランキング外 | 上海交通大学 | 詳細データ |
(2)国家重点実験室
上記の表での中国国内各大学比較の際には、雲南大学は国家重点実験室は有していなかった。
その後中国の各大学では、政府の方針に従って国家重点実験室を再編して全国重点実験室に移行する流れとなっており、雲南大学においては次の2つの重点実験室が設置されている。
・植生構造機能・建造全国重点実験室(植被结构功能与建造全国重点实验室)
・雲南生物資源保護・利用国家重点实验室(云南生物资源保护与利用国家重点实验室)
(3)双一流学科建設
中国は2017年に、国内の大学とその学科を21世紀半ばまでに世界一流とすることを目標とする政策(双一流建設政策)を開始した。2022年に改訂された双一流建設政策による学科建設において、雲南大学は以下の2学科が選定されている。
民族学、生態学
(4)NSFC面上項目予算獲得
日本の科研費に近い予算として、国家自然科学基金委員会(NSFC)が所管する面上項目予算がある。この予算をどの程度獲得するかで、当該大学の研究能力を判定しうる。2019年で雲南大学はランキング外であった。
6. 国内および国際的な評価
中国の国内と国際的な評価を示したのが下表である。国内では軟科と中国校友会、国際では英国のQS(Quacquarelli Symonds Limited)とTHE(Times Higher Education)のランキングを示した。また、卒業生の中での傑出科学技術人材数の校友会ランキングも、併せて示した。
これで見ると雲南大学は、中国国内ランキングで主要大学中70位ほどの位置にある。国際的なランキングには入っていない。
| 雲南大学 | 中国第1位の大学 | ||
| 軟科ランキング | 69位 | 清華大学 | 詳細データ |
| 校友会ランキング | 90位 | 北京大学 | 詳細データ |
| QSランキング | ランキング外 | 北京大学 | 詳細データ |
| THEランキング | ランキング外 | 清華大学 | 詳細データ |
| 校友会傑出人材 | 69位 | 北京大学 | 詳細データ |
7.熊慶来学長
雲南大学の過去の学長に、フランスで学んだ著名な数学者である熊慶来(熊庆来、Qinglai Xiong)がいる。熊慶来は、1893年に雲南省弥勒県に生まれ、欧州に留学してグルノーブル大学やモンペリエ大学などで数学を学んだ後に帰国し、清華大学などで教鞭をとって、華羅庚など多くの数学者を育てた。
1937年の日中戦争勃発により、清華大学は北京大学、南開大学と一緒に国立西南連合大学を結成して雲南省に疎開したが、熊慶来も雲南省に疎開し雲南省の知事の要請を受けて雲南大学の学長に就任した。
より詳しくは、こちらを参照されたい。

参考資料
・雲南大学HP https://www.ynu.edu.cn/
・雲南大学医学院HP http://www.medicine.ynu.edu.cn/


