「国家科学技術インフラ建設綱要(2004年~2010年)」(2004年)

 科学技術インフラ建設綱要は、2004年に制定され、科学技術活動の基礎となるインフラについて、2010年までの整備方針とその共用方針を定めたものである。

科学技術インフラ建設綱要の策定経緯

 2004年7月、国務院の科学技術部、国家発展改革委員会、教育部、財政部は共同で、「国家科学技術基礎インフラ建設綱要:国家科技基础条件平台建设纲要(2004年~2010年)」を公表した。

 新中国建国以来、科学技術進展のためのインフラ整備が行われてきたが、両弾一星政策にかかわるインフラ整備や中国科学院などによるインフラ整備が中心であり、研究者全般に供するという形での国としての基盤的なインフラ整備は行われてこなかった。
 20世紀末からの経済成長を受け、また自主的な技術開発を強化する意味からも自前でのインフラ建設の重要性が高まったことから、国の科学技術の基礎インフラ(中国語では基礎条件平台)整備についての指針が必要とされた。

 この綱要策定の目的は、イノベーションに必要な基礎インフラを特定して2010年までに建設し、これらインフラの共用と管理システムを確立し、それを支える専門的な人材を育成することである。

綱要の具体的な内容

 建設綱要は、全ての科学技術活動の基礎となるインフラについて、今後の整備方針とその共用方針を定めたものである。

 そして、当面急がれる科学技術基礎インフラとして、以下のものを特記している。
・研究・実験のための基地と大規模な科学機器
・動植物、微生物、遺伝子などの科学技術資源の共有インフラ
・科学データ共有インフラ
・科学技術文献共有プラットフォーム
・研究成果を産業技術に転化させるインフラ
・大型共用計算機や科学技術ネットワーク

 2006年には、「国家中長期科学技術発展計画綱要(2006年~2020年)」が公表され、この綱要で示された科学技術インフラについての考え方が確認されている。

参考資料

・中国中央人民政府HP 『2004-2010年国家科技基础条件平台建设纲要