「科学研究機関の管理体制の改革深化に関する実施意見」(2000年)

 管理体制の改革の深化に関する意見は、非効率な国の研究機関を統合、民営化などにより、発展分野と高レベルな研究機関に資源を集中させるため、2000年に策定された。

 2000年5月、国務院は「科学研究機関の管理体制の改革の深化に関する実施意見:关于深化科研机构管理体制改革的实施意见」を公表した。

 この意見は、前年4月に出された「国家経済貿易委員会が管理する10の国家局所属の科学研究機関の管理体制の改革に関する意見」によるモデル的な試行改革が、科学技術力の配置の調整に新たな突破があったと評価している。そのうえで、科学技術と経済の問題はまだ根本的に解決されておらず、科学研究機構管理体制の分割、分散、重複が存在する、人員が多すぎ効率が良くない、市場に向かうメカニズムが不完全であるなどの課題が依然として存在していると指摘した。そして前年8月に中国共産党中央と国務院より公表された「技術イノベーションの強化、ハイテク技術の発展、産業化の実現に関する決定」にしたがって、科学研究機関の管理体制の改革を深化させることを求めている。具体的には、国家財政の投入は急激な発展分野と高レベルの研究機関に集中させ、他の研究機関は民営化するか大学などの他の機関に併合するとしている。

 この意見の概要は次の通りである。
○すでに企業化した国家電力会社、中国石油化工集団公司、中国石油天然気グループ会社、中国建築工程総公司、中国自動車工業総公司などの所属研究機関も、企業化する。
○建設部、鉄道部、交通部、情報産業部、医薬品監督管理局などの部門に属する技術開発機関は、自ら企業化するか他企業に合流する。
○国土資源部などに属する研究機関は市場向けの能力(全体の半分以上)を企業化し、公益性サービスを提供する研究機関は企業化する。
○財政部、文化部などの部門に属する社会科学(経済、文化、法律などを含む)分野の研究機関は、再配置によって改革を行う。
○中国科学院に所属する研究機関は、そのままとし改革を強化する。
○科学研究と教育の結合を強化し、様々な研究機関が大学に入ることを奨励する。
○これらの改革を加速するため、国は様々な支援措置を講ずる。具体的には、
・先行的に実施した国家経済貿易委員会が管理する研究機構に対して講じられた、国有資本査定、税金徴収管理、養老保険などの優遇措置を同様に講じる。
・企業化した研究機構は人事制度、分配制度などの面で改革を行い、国家はそれに対して1人あたりの事業費を増加して投入する。また優れた研究プロジェクトに対して支援を強化する。
・大学と併合する場合で、1人あたりの事業費が基準を下回る場合、費用を補填する。

 本意見による改革は、マーケットを志向した研究開発を行えるようになった、所管部門ごとに、地方ごとに異なった機関が重複していたのが効率的な配置が可能になった、開放、流動、競争、協力のメカニズムを確立することができるようになったなどと高い評価を得た。

参考資料

・科学技術部HP 『关于深化科研机构管理体制改革的实施意见