「イノベーション、ハイテクの発展、産業化の実現に関する決定」(1999年)

 イノベーション、ハイテクの発展、産業化の実現に関する決定は、共産党中央と国務院が1999年に策定した。公的科研機関の企業化を推進し、イノベーション強化とハイテク企業振興を提唱した。

 1999年8月、中国共産党中央と国務院は「イノベーション、ハイテクの発展、産業化の実現に関する決定:关于加强技术创新,发展高科技,实现产业化的决定」を発表し、朱鎔基首相の改革路線に沿って中国の公的科研機関の企業化を推し進めることを強調するとともに、改革により配置転換を余儀なくされた多くの科学技術人材の受け皿として、イノベーション強化とハイテク企業振興を提唱した。

 この決定では、概略以下の前文が付されている。
 今日の世界では、科学技術が日進月歩しており、情報技術、バイオテクノロジーをはじめとするハイテク産業が急速に発展している。激烈な総合国力の競争の中で、イノベーションを加速し、ハイテクを開発し、そのハイテクにより商品化や産業化を進めることが、国家と経済を守る命脈となっている。新中国の成立から50年、科学技術は著しい進展を遂げ、社会主義近代化建設に顕著な貢献をしてきたが、科学技術の生産力に転化する能力やハイテク産業が依然として弱く、我が国の経済発展を制約する大きな障害となっている。そこで、科学技術の成果を転化させるメカニズムを抜本的に改革し、イノベーションを強化し、ハイテクを発展させ、産業化を実現することにより、我が国の経済と国力をさらに高め飛躍的な発展を実現させる。

 具体的な方策は次の通りとなっている。
・鄧小平同志の「科学技術は第一生産力」の考え方に沿って経済、科学技術、教育の改革を深化させる。
・政府は、国全体のイノベーション、ハイテク開発、ハイテク成果の産業化の方向と重点を示す。例えば、ICT、バイオ、新材料、エネルギー、宇宙航空、海洋等の分野で、知的財産権を有し競争力のあるハイテク企業を数多く形成する。
・企業のイノベーション能力を高め、イノベーションの主体になることを促進する。企業と大学、科学研究機関の連携を強化する。企業の科学技術投資を増加させる。
・国の応用型研究機関と設計機関を企業に転換させ、科学技術型企業として発展させる。その際、すでに企業に転換している国家経済貿易委員会所属の研究機関の経験を活用する。
国家ハイテク産業開発区の建設を強化する。
・多様な形で民間科学技術企業の発展をサポートする。
・科学技術と応用や生産と消費の間における仲介機構を発展させる。
・財税支援、金融支援、人材管理制度改革、成果の転化奨励を実施する。
・科学技術の成果の評価と科学技術の奨励を進める
・知的財産権の管理と保護を強化する。

参考資料

・科学技術部HP 『关于加强技术创新,发展高科技,实现产业化的决定