はじめに

 国家中医薬管理局(国家中医药管理局、National Administration of Traditional Chinese Medicine)は、国務院部委管理国家局の一つであり、中国医学や漢方薬に関連する業務を担当している。国家衛生健康委員会の管理を受けている。
 国務院部委管理国家局(国务院部委管理的国家局)とは、国務院の別の組織により管理される局であり、特定の行政業務を行う。通常は国務院内の最重要組織である組成部門(部・委員会などで、日本の各省に相当)が管理しているが、組成部門以外でも管理する局を有している場合がある。

国家中医薬管理局の玄関
国家中医薬管理局 維基百科HPより引用

1. 名称

〇中国語:国家中医药管理局  
〇日本語:国家中医薬管理局
〇英語:National Administration of Traditional Chinese Medicine 略称:NATCM

2. 所在地

 本部は、北京市東城区工体西路1号にある。北京市の中心地である天安門の約2キロメートルほど東北に行ったところにある。近くには、世界卓球選手権などが開催された北京工人体育館(Beijing Worker’s Gymnasium)がある。

3. 沿革

(1)衛生部医政処中医科

 国家中薬管理局の前身は、中華人民共和国の発足時に中央政府衛生部に設置された医政処中医科(医政处中医科)であり、ここで中国伝統医学、薬学などの行政事務を行った。

(2)国家中医薬管理局

 1988年の国務院行政改革の一環で、国家中医薬管理局が国務院部委管理国家局として設置され、衛生部の管理を受けることになった。
 2018年の国務院行政改革の一環で、国務院に国家衛生健康委員会が設置され、国家中医薬管理局は同委員会の管理を受ける国務院部委管理国家局となった。

4. 任務

 中国医学や漢方薬の発展のための政策の策定、中国医学による治療・予防・健康管理・リハビリテーション・臨床治療の管理、中国医学と西洋医学の統合の調整、中国医学や漢方薬の科学的な解明などを任務としている。

5. 組織

(1)幹部

 トップは局長であり、副大臣(副部長)クラスである。現在の局長は余艶紅 (余艳红、1962年~)であり、湖南省衡陽医学院を卒業して産婦人科医師となり、第一軍医大学や南方医科大学などで勤務の後、南方医科大学学長を務めた女性である。2023年に国家中医薬管理局局長に就任し、国家衛生健康委員会の共産党組織の委員を兼ねている。
 同局には4名の副局長が設置され、局長を補佐している。

(2)内部部局

 主たる内部部局は次のとおりである。
・医政司
・中西医結合・少数民族医薬司(中西医结合与少数民族医药司)
・中薬創新・発展司(中药创新与发展司)
・国際協力司(国际合作司)

(3)直属組織

 いくつかの直轄組織を有しているが、その中で重要と考えられる組織は次のとおりである。
・中国中医科学院

参考資料

・国家中医薬管理局HP http://www.natcm.gov.cn/
・維基百科HP 国家中医药管理局  https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E4%B8%AD%E5%8C%BB%E8%8D%AF%E7%AE%A1%E7%90%86%E5%B1%80