はじめに
蘭州化学物理研究所(兰州化学物理研究所、Lanzhou Institute of Chemical Physics)は、中国科学院石油研究所(現在の大連化学物理研究所)により1958年に設置された蘭州分室が前身で、1962年に現在の名称となった。
資源・エネルギー、新素材、生態学、健康分野などの研究を行っている。

1. 名称
○中国語表記:兰州化学物理研究所 略称 兰州化物所
○日本語表記:蘭州化学物理研究所
○英語表記:Lanzhou Institute of Chemical Physics 略称 LICP
2. 所在地
蘭州化学物理研究所の所在地は、甘粛省蘭州市蘭州天水中路18号である。
3. 沿革
蘭州化学物理研究所は、遼寧省大連にあった中国科学院石油研究所(現在の大連化学物理研究所)により1958年に設置された蘭州分室が母体である。蘭州分室には、触媒化学、分析化学、潤滑材料の3つの研究室が置かれた。1962年に、現在の名称となった。
4. 組織の概要
(1)研究分野
蘭州化学物理研究所は、中国大陸西部における資源エネルギーと新材料の研究拠点として、資源・エネルギー、新素材、生態学、健康の分野における基礎研究、応用研究、ハイテク研究を行っている。
(2)主な研究組織
蘭州化学物理研究所の主な研究組織は以下のとおりである。
・カルボニル合成・選択酸化国家重点実験室(羰基合成与选择氧化国家重点实验室)
・固体潤滑剤国家重点実験室(固体润滑国家重点实验室)
・精密石油化学工学中間体国家工学研究センター(精细石油化工中间体国家工程研究中心)
・中国科学院西北特色植物資源化学重点実験室(中国科学院西北特色植物资源化学重点实验室)
5. 研究所の規模
(1)職員数
2021年現在の職員総数は667名で、中国科学院の中で30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)予算
2021年予算額は4億9,993万元で、中国科学院の中で30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)研究生
2021年現在の在所研究生総数は346名で、中国科学院の中で30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
6. 研究開発力
(1)国家級実験室など
2つの国家重点実験室を有している(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
・カルボニル合成・選択酸化国家重点実験室(羰基合成与选择氧化国家重点实验室):1995年に設置された。カルボニル合成と選択的酸化に焦点を当て、グリーン合成とクリーン変換における研究を行っている。
・固体潤滑剤国家重点実験室(固体润滑国家重点实验室):2001年に設置された。トライボロジー理論・トライボ化学、特殊な作動条件下のトライボロジー、材料の摩擦と摩耗および表面工学、高性能潤滑保護材料を研究している。
(2)NSFC面上項目獲得額
NSFC一般プログラム(面上項目、general program)の獲得資金額は、中国科学院の中では20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
7. 研究成果
(1)Nature Index
Nature Index2022では、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)特許出願数
2021年の特許出願数は388件で、中国科学院内で第14位である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)成果の移転収入
2021年研究成果移転収入は、中国科学院内の9位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(4)両院院士数
2025年4月時点で所属する両院の院士は4名であり、中国科学院内のランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
〇中国科学院院士(1名):刘维民
〇中国工程院院士(3名):薛群基、李阳、高雄厚
参考資料
・蘭州化学物理研究所HP http://www.licp.cas.cn/
・中国科学院HP https://www.cas.cn/
・中国科学院統計年鑑2022 中国科学院発展企画局編