中央経済工作会議での胡錦濤の講話(2004年)

 胡錦濤の講話は、2004年の中央経済工作会議でのもので、中国社会の格差是正、汚職の撲滅、環境問題を解決して「小康社会」の建設を進めるという政策意図を表したものであった。

胡錦濤の講話の経緯

 2004年12月に開催された中央経済工作会議で胡錦濤総書記は講話を行い、当面の国際国内情勢を分析し、今後の経済活動の主要任務を強調した。これは、前年10月の「社会主義市場経済体制の整備における若干の問題に関する決定」をさらに敷衍する内容であり、三農問題をはじめとする中国社会の格差是正、汚職の撲滅、環境問題を解決して「小康社会」の建設を進めるという政策意図を表したものであった。

胡錦濤の講話の主要論点

 胡錦濤の講話における主要論点は、次の通りである。
・共産党によるマクロコントロールを維持強化し、経済を安定的に発展させる。
・三農問題解決に取り組む。
・構造改革と調整を強力に推進し、経済成長方式の転換を促進する。
・社会主義市場経済体制の改革を推進し、持続可能な発展を実現する。
・国内の発展と対外開放をあわせて進め、国際競争力を強化する。
・社会保障制度、失業、農村の貧困、所得再配分、義務教育、医療システムなどの課題を解決し、和諧社会の構築に努める。

 この中で、3つ目の構造改革推進に関連して胡錦濤総書記は、「自主創新(イノベーション)能力を高めることは、構造調整を推進する重要な一環である。技術研究と開発システムを健全化し、先進的な技術の導入と消化、吸収、イノベーションとを結合させ、イノベーションを奨励する政策体系を充実させ、イノベーション能力に富んだ各種人材の育成に力を入れる必要がある(提高自主创新能力是推进结构调整的中心环节。要健全技术研究和开发体系,坚持先进技术引进和消化、吸收、创新相结合,完善鼓励创新的政策体系,着力培育富有创新能力的各类人才)」としており、この「提高自主創新能力」は、胡錦濤政権における科学技術イノベーション振興のスローガンとなった。

 また、6つ目の和諧社会の構築に関連して胡錦濤総書記は、「この観点から国家中長期科学技術発展計画(国家中长期科技发展规划)の制定を急ぐ必要がある」と述べ、これが2006年2月公表の「国家中長期科学技術発展計画綱要(2006年~2020年)」の策定につながっていく。

参考資料

・中国中央人民政府HP 「中央经济工作会议召开 胡锦涛温家宝作重要讲话