はじめに

 国家市場監督管理総局(国家市场监督管理总局、State Administration for Market Regulation)は、国務院の直属機構であり、市場の総合的な監督管理業務についての責任を有し、会社の設立や商標の登録、独占禁止法関連の業務、食品と医薬品の安全性管理などを行っている。
 国務院の直属事業単位(直属事业单位)とは、国務院に直属した独立組織であり、科学技術部のような組成部門(日本の各省に相当)ではないが、一定の行政的な権能を有する組織である。他に中国科学院中国工程院などがある。

国家市場監督管理総局の玄関
国家市場監督管理総局  維基百科HPより引用

1. 名称

〇中国語:国家市场监督管理总局  略称 市场监管总局
〇日本語:国家市場監督管理総局
〇英語:State Administration for Market Regulation 略称:SAMR

2. 所在地

 中国気象局の本部は、北京市西城区三里河東路8号にある。北京市の中心地である天安門の約5キロメートルほど西北西に行ったところにあり、近くには月壇公園や中国科学院がある。

3. 沿革

 国家市場監督管理総局は2019年3月に、中国国務院内の市場の総合的な監督管理業務を一元的に実施するため、国家工商行政管理総局(国家工商行政管理总局)、国家質量監督検査検疫総局(国家质量监督检验检疫总局)、国家食品医薬品監督管理総局(国家食品药品监督管理总局)を統合するとともに、国家発展改革委員会、商務部などの独占禁止法業務や価格統制業務を併合して、国務院の直轄事業単位として設置された。

4. 任務

 中国国内における、市場の包括的な管理について責任を有している。
 科学技術に関係する業務としては、食品と医薬品の安全性管理があるが、このうち食品の安全業務はこの総局で直接実施しており、医薬品の安全業務については後述する国家薬品監督管理局で実施している。また、食品の安全業務は、中国国民にとっても関心の高い事項であることもあり、国務院内の諮問機関として食品安全委員会が設置されており、同総局が事務局を担っている。
 また、中国のISO規格など標準化に関連する組織でもある。

5. 組織

(1)幹部と内部部局

 国家市場監督管理総局のトップは局長であり、大臣(部長)クラスである。現在の局長は罗文(1964年~)であり、武漢大学哲学科を卒業して工業・情報化部などの勤務を経て、2022年から同総局の局長を務めている。

 内部部局のうち、科学技術に関係すると思われる組織は次のとおりである。
・食品安全調整司(食品安全协调司
・食品生産安全監督管理司(食品生产安全监督管理司)
・食品経営安全監督管理司(食品经营安全监督管理司)
・特別食品安全監督管理司(特殊食品安全监督管理司)
・食品安全検査監視司(食品安全抽检监测司)
・特殊設備安全監察司(特种设备安全监察局)
・計量司(计量司)
・標準技術管理司(标准技术管理司)
・標準イノベーション管理司(标准创新管理司)

(2)直轄組織

  多くの直轄組織を有しているが、その中で科学技術の面で重要と考えられる組織は次のとおりである。
・中国計量科学研究院(中国计量科学研究院)
・中国標準化研究院(中国标准化研究院)
・中国検験検疫科学研究院(中国检验检疫科学研究院)
・中国特殊設備試験研究院(中国特种设备检测研究院)

(3)部・委員会が管理する国家局

 国家市場監督管理総局は、国務院の組成部門ではなく直属事業単位であるが、管理する国家機構(部管国家机构)を有している。
・国家薬品監督管理局(国家药品监督管理局)

参考資料

・国家市場監督管理総局HP https://www.samr.gov.cn/
・国家薬品監督管理局HP https://www.nmpa.gov.cn