はじめに
国家宇宙科学センター(国家空间科学中心、National Space Science Center)の前身は1987年に設置された宇宙科学・応用研究センターであり、2015年に現在の名称に変更された。
宇宙科学と衛星プロジェクト、月探査プロジェクトなどの研究開発を行っている。

1. 名称
○中国語表記:国家空间科学中心 略称 空间中心
○日本語表記:国家宇宙科学センター
○英語表記:National Space Science Center 略称 NSSC
2. 所在地
国家宇宙科学センターの所在地は、北京市海淀区中関村南二条一号である。
3. 沿革
国家宇宙科学センターの源は、1958年に両弾一星政策の一星部分である人工衛星開発を担当するために、中国科学院に設置された581組である。
その後、幾度かの改組を経て、文化大革命中の1970年に、中国初の人工衛星「東方紅1号」の打ち上げに成功した。1978年に中国科学院宇宙物理研究所となった。
1987年に、中国科学院にあった宇宙科学センターと統合されて、宇宙科学・応用研究センターとなった。
2015年に、現在の名称である国家宇宙科学センターとなった。
4. 組織の概要
(1)研究分野
国家宇宙科学センターは、太陽、惑星間空間、磁気圏、電離圏、熱圏、近宇宙などの領域において、宇宙プロジェクト、月および深宇宙探査プロジェクトなどを実施している。
(2)主な研究組織
国家宇宙科学センターの主な研究組織は以下のとおりである。
・太陽活動・宇宙天気全国重点実験室(太阳活动与空间天气全国重点实验室)
・中国科学院マイクロ波リモートセンシング技術重点実験室(中国科学院微波遥感技术重点实验室)
・中国科学院複雑宇宙システム電子情報技術重点実験室(中国科学院复杂航天系统电子信息技术重点实验室)
・中国科学院宇宙環境状況認識技術重点実験室(中国科学院空间环境态势感知技术重点实验室)
5. 研究所の規模
(1)職員数
2021年現在の職員総数は760名で、中国科学院の中で第27位である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)予算
2021年予算額は12億9,174万元で、中国科学院の中では第15位である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)研究生
2021年現在の在所研究生総数は470名で、中国科学院の中では30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
6. 研究開発力
(1)国家級実験室など
1つの国家重点実験室を有している(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
・太陽活動・宇宙天気全国重点実験室(太阳活动与空间天气全国重点实验室):太陽活動と宇宙天気の発生メカニズム、物理法則、人類活動への影響を研究している。
(2)大型研究開発施設
中国科学院は、同院や他の研究機関の研究者の利用に供するため大型の研究開発施設を有している。(中国科学院内の設置状況詳細はこちら参照)。
国家宇宙科学センターは、この大型共用施設・共用実験施設として「東半球宇宙環境総合地上観測基地」を設置・運営している。
〇東半球宇宙環境総合地上観測基地(东半球空间环境地基综合监测子午链):東半球宇宙環境総合地上観測基地は、地磁気、電波、光学検出機能など、複数の検出機能を備えた大規模な地上宇宙環境観測システムであり、東経120度付近と北緯30度付近の子午線に沿って15か所の観測ステーションを設置しいる。これにより、地球の表面、中層・上層大気、電離層、磁気圏の磁場、電場、密度、温度、粒子組成を継続的に観測可能である。

(3)NSFC面上項目獲得額
NSFC一般プログラム(面上項目、general program)の獲得資金額は、中国科学院の中では20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
7. 研究成果
(1)Nature Index
Nature Index2022では、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)特許出願数
2021年の特許出願数は150件で、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)成果の移転収入
2021年研究成果移転収入は、中国科学院内の9位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(4)両院院士数
2024年2月時点で所属する両院の院士は2名であり、中国科学院の中でランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
〇中国科学院院士(2名):魏奉思、王赤
参考資料
・国家宇宙科学センター HP http://www.nssc.cas.cn/
・中国科学院HP https://www.cas.cn/
・中国科学院統計年鑑2022 中国科学院発展企画局編