はじめに
国家知識産権局(国家知识产权局、China National Intellectual Property Administration)は、国務院直属機構の一つであり、特許権、商標を担当している。日本の特許庁に近い組織である。
国務院の直属機構(国务院直属机构)とは、科学技術部のような組成部門(日本の各省に相当)ではないが、国務院の特定の事務を担当し独立した行政機能を有する組織である。他に国家市場監督管理総局などがある。

1. 名称
〇中国語:国家知识产权局
〇日本語:国家知識産権局
〇英語:China National Intellectual Property Administration 略称:CNIPA
2. 所在地
国家知識産権局の本部は、北京市海淀区蓟門橋西土城路6号にある。北京市の中心地である天安門の約5キロメートルほど北北西に行ったところにある。近くには北京師範大学などがある。
3. 沿革
(1)中国専利局
国務院は1980年に中国専利局(中国专利局)を、国家科学技術委員会(現在の科学技術部)が管理する国家局として設置した。局長は、国家科学技術委員会の副主任が兼務した。
国家専利局は1994年に、国務院の直属事業単位となった。国務院の直属事業単位(直属事业单位)とは、国務院に直属した独立組織であり、科学技術部のような組成部門(日本の各省に相当)ではないが、一定の行政的な権能を有する組織である。
(2)国家知識産権局
1998年の国務院行政改革で、国務院の直属機構(国务院直属机构)として国家知識産権局が設置され、国家専利局は同局に吸収された。その際、商標、実用新案関連業務も担当することになった。国務院の直属機構とは、国務院の特定の事務を担当し独立した行政機能を有する組織である。
2018年の国務院改革で、国務院の直属機構として国家市場監督管理総局が設置され、国家知識産権局は同総局の管理する国務院部委管理国家局(国务院部委管理的国家局)となった。国務院部委管理国家局とは、国務院の組織が管理している局であり、特定の行政業務を行う。
2023年の国務院改革で、国家知識産権局は国家市場監督管理総局の管理を離れ、国務院直属機構に復帰した。
4.任務
国家知識産権局は、特許および商標、知的財産に係る対外関係などを担当している。
なお、特許と並んで知識財産権の重要な柱である著作権の担当機関は、国家版権局(国家版权局、National Copyright Administration、中国共産党中央宣伝部と同一組織)である。
5. 組織
(1)幹部
国家知識産権局のトップは局長であり、副大臣(副部長)クラスである。現在の局長は申長雨(申长雨、1963年~)であり、解放軍鉄道兵工学院を卒業し、鄭州大学学長や大連理工大学学長などを経て、2013年から国家知識産権局局長を務めている。
国家知識産権局には、4名の副局長がいて、局長を支えている。
(2)内部部局
内部部局のうち、主たる組織は次のとおりである。
・知識産権保護司(知识产权保护司)
・知識産権運用促進司(知识产权运用促进司)
・国際協力司(国际合作司)
(3)直属組織
重要な直轄組織は、次のとおりである。
・国家知識産権局専利局(国家知识产权局专利局)
・国家知識産権局商標局(国家知识产权局商标局)
参考資料
・国家知識産権局HP https://www.cnipa.gov.cn/
・維基百科HP 国家知识产权局 https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%8B%E5%AE%B6%E7%9F%A5%E8%AD%98%E7%94%A2%E6%AC%8A%E5%B1%80