概要

 中国気象科学研究院(中国气象科学研究院)は、国務院中国気象局傘下の研究機関であり、気候と気候変動、数値予報の理論と手法、新たな大気観測技術、生態気象学、環境気象学、海洋気象学などの研究を行っている。

中国気象科学研究院の写真
中国気象科学研究院  同研究院のHPより引用

1.名称

○中国語:中国气象科学研究院 略称:气科院
○日本語:中国気象科学研究院 
○英語:Chinese Academy of Meteorological Sciences 略称:CAMS

2.所管

 国務院の直属事業単位で、日本の気象庁に相当する中国気象局の所管である。直属事業単位は、国務院に直属した独立組織であり一定の行政的な権能を有する組織で、他の科学技術に係わりの深い組織として中国科学院中国工程院である。

中国気象局の正面玄関
中国気象局  維基百科HPより引用

3.所在地

 本部は、北京市海淀区中関村南大街46号にある。北京の中心である天安門から、約6キロメートルほど北西に行ったところにある。上部機関である中国気象局と同一の住所となっている。近くには紫竹園公園や北京動物園があり、北に2キロメートルほど行くと北京大学清華大学がある。

4. 沿革

 1956年、国務院の中央気象局にあった中央気象台が、中央気象科学研究所と改名された。これが、現在の中国気象科学研究院の始まりである。

 1970年、中国内の制度改革で中央軍事委員会の気象関係部門が国務院の中央気象局と統合されたが、中央気象科学研究所はそのまま中央気象局の傘下機関として存続した。

 1978年、中央気象研究所は同じ中央気象局傘下の気象科技情報研究所と統合された。名称は変更なかった。

 1982年、中央気象局は国家気象局となり、中央気象研究所は国家気象局の傘下機関となって名称が気象科学研究院となった。

 1991年、気象科学研究院は中国気象科学研究院となった。

5. 組織・規模

(1)使命

 異常気象、気候と気候変動、数値予報の理論と手法、新たな大気観測技術、気象データ応用、生態気象学、環境気象学、農業気象学、雪氷圏気象学、海洋気象学、災害影響評価などの研究分野に重点を置いている。また、人工知能の気象応用、金融気象学、交通気象学、健康気象学といった新興分野にも取り組んでいる。

(2)職員数

 HPによれば、2024年9月現在、324名の職員、292名の退職職員、357名の大学院生およびポスドク研究員が在籍している。

(3)幹部

 中国気象科学研究院のヘッドは院長であるが、2026年7月現在、院長は空席となっている。現在のヘッドは、副院長兼中国共産党委員会副書記であり、それ以外に複数の副院長が幹部となっている。

(4)下部組織

 HPによれば、中国気象科学研究院は以下のような研究組織を有している。

○北京市内
・災害天気研究所(灾害天气研究所)
・大気成分・環境気象研究(大气成分与环境气象研究所)
・人工知能気象応用研究所(人工智能气象应用研究所)
・生態・農業気象研究所(生态与农业气象研究所)
・地球気象変動・極地研究所(全球变化与极地研究所)
・気象影響・リスク研究センター(气象影响与风险研究中心)
・チベット高原気象研究所(青藏高原气象研究所)
・気象支援技術専門研究センター(专项气象保障技术研究中心)
○北京市以外
・南京気象科学技術イノベーション研究院(南京气象科技创新研究院) 江蘇省南京市
・青海チベット高原気象研究院(青藏高原气象研究院) 四川省成都市
・青島海洋気象研究院(青岛海洋气象研究院) 山東省青島市
・瀋陽農業生態気象研究院(沈阳农业与生态气象研究院) 遼寧省瀋陽市

(5)研究生院

 中国気象科学研究院は、中国気象局唯一の大学院教育機関であり、国務院学位委員会から修士号授与を承認された最初の機関の一つである。これまでに1,364名の修士課程学生と358名の博士課程学生を育成してきた。

(6)中国科学院などとの相違

 中国において、英語の組織名にAcademyが付く重要な機関として、中国科学院中国工程院中国社会科学院の3機関がある。これら3機関は、米国科学アカデミー、英国王立協会、フランス学士院などと同様に、中国における優れた科学者を顕彰する機能を有しており、院士あるいは学部委員(両方ともAcademicianと呼ばれる)を選任している。
 一方中国気象科学研究院は、英語名にAcademyが付くが、上記3機関と違って科学者顕彰機能は有していない。

参考資料

・中国気象科学研究院HP  https://www.camscma.cn/