はじめに

 中国地震局(China Earthquake Administration)は、国務院応急管理部の管理する事業単位であり、中国全土の地震観測と地震防災・減災業務を担当する。
 なお部・委員会(日本の各省に相当)の管理する事業単位とは、内部組織ではなく独立的な機関である。ただし、その独立の度合いは、部・委員会が管理する国家局ほど強くはない。部・委員会が管理する事業単位としては、他に国家自然科学基金委員会科学技術部が管理)、中国地質調査局自然資源部が管理)などがある。国務院の組織に関する詳しい説明は、こちらを参照されたい。

中国地震局の正面
中国地震局 中新網からの引用

1. 名称

〇中国語:中国地震局  
〇日本語:中国地震局
〇英語:China Earthquake Administration 略称:CEA

2. 所在地

 中国地震局は、北京市海淀区復興路63号にあり、北京市の中心地である天安門の約7キロメートルほど西に行ったところにある。

3. 沿革 

 中華人民共和国建国後、国務院のいくつかの部署に地震対策関係の組織が設立された。具体的には、1953年に中国科学院に設置された「中国科学院地震工作委員会」、1967年に国家科学技術委員会(現在の科学技術部)に設置された「京津地区地震弁公室」、1967年に国家基本建設委員会(現在の住宅都市農村建設部:住房和城乡建设部)に設置された「京津地区耐震弁公室」である。

 1971年に上記の組織が統合され、国務院内に国家地震局が設置された。当初は中国科学院の管理する国家局であったが、1975年に独立した国家局となった。1998年には、名称を中国地震局とした。

 2018年の国務院機構改革により応急管理部が設置されると、中国地震局は同部の管理する事業単位となった。

4. 任務

 中国は、日本ほどではないが地震大国であり、歴史的にも数万人が犠牲者となる大きな地震が四川、雲南、寧夏、河北などで起こっている。近年の大きな地震としては、海原地震(1917年)、昌馬地震(1932年)、唐山地震(1976年)、四川地震(2008年)などである。
 このため、中国政府は地震防災や地震後の復興、さらには地震予知に大きな努力を行ってきており、それを担う組織が中国地震局である。具体的な任務は、次のとおりである。
・地震の防災と減災
・地震の監視
・震災救援
・地震の予知、予測
・地震科学技術の振興

5. 組織

(1)幹部

 トップである局長は、国務院の副部長(日本の副大臣クラス)であり、2025年現在の局長は王昆である。王昆は、1971年に福建省に生まれ、中国地質大学を卒業して、福建省、国土資源部、中国地質調査局などを経て、2020年に中国地震局副局長となり、2024年に中国地震局局長となった。応急管理部の共産党委員会委員を兼務している。
 同局には4名の副局長がいて、局長を補佐している。

(2)内部組織

 中国地震局の内部組織で、科学技術に関連する部局は次のとおり。
・観測予報司(监测预报司)
・震災防御司(震害防御司)

(3)局直属単位

 中国地震局は、いくつかの直属単位を有しており、科学技術に関連する主なものは次の通り。
・地質研究所
・地震予知研究所
・工程力学研究所
・地震災害防御センター

参考資料

・中国地震局HP http://www.cea.gov.cn/ 
  このサイトは海外からはアクセスできない。
・維基百科HP 中国地震局 https://zh.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%9C%B0%E9%9C%87%E5%B1%80#