「国の科学技術プロジェクトの管理改革深化に関する方策」(2014年)
科学技術プロジェクト管理に関する方策(「国の科学技術プロジェクトの管理改革深化に関する方策」)は、科学研究項目資金管理に関する意見を踏まえた具体的な措置を2014年に策定したものである。
科学技術プロジェクト管理に関する方策の策定経緯
2014年12月、国務院は「国の科学技術プロジェクトの管理改革深化に関する方策:关于深化中央财政科技计划(专项、基金等)管理改革方案」を公表した。これは同年3月に公表された「国の科学研究項目資金管理改善・強化に関する意見」を受けて、科学技術部と財政部が国務院の他の関係部局と専門家の意見を調整し、共同で策定したものである。
科学技術プロジェクト管理に関する方策の具体的な内容
5つのカテゴリーに統合
この実施方策の一点目は、これまでに実施されてきた多くの計画やプロジェクトを、次の5つのカテゴリーに統合したことである。このうち、3番目のカテゴリーに属する資金援助がこれまで100件近くと多く、これが統合され効率化されることとなる。
・国家自然科学基金委員会(NSFC):基礎研究と先端科学研究に資金を提供する。
・国家科学技術重大特定プロジェクト:国家の戦略目標や戦略産業に注目し、国を挙げて実施するプロジェクトを支援する。
・国家重点研究開発計画:国家の計画や国民生活に関連する農業、エネルギー資源、生態環境、健康などの分野における、戦略的・基礎的・先進的な研究開発を支援する。
・技術イノベーション導入特別プロジェクト(基金):市場メカニズムによって科学技術イノベーション活動を牽引し、科学技術成果の転化、資本化、産業化を促進する。
・基地・人材特別プロジェクト:構成を最適化し、科学技術イノベーション基地の建設とイノベーション人材養成を助成する。
運用体制の改革
二つ目は運用体制の改革である。重複の排除、運用の効率化などを目的として、以下のように運用体制の再構築が進められることとなった。
・部門間連絡会議(部際聯席会議)の設置:科学技術部をはじめとして、財政部、国家発展改革委員会などの関係部門が参加した連絡会議を設置し、国の中長期計画や五か年計画などとの関連性、プロジェクトや基金の制度設計、重点任務と指導などを審議する。
・国家科学技術管理情報システム(国家科技計画申報中心、日本のe-Rad)の設置:従来の各部局への資金申請を政府機関共通の電子システムを用いての申請、管理に一元化された。
・研究資金専門管理機関の設置:国家重点研究開発計画を中心として、国の認定を受けた研究基金専門管理機関が設置され、申請された各プロジェクトの審査から管理運営までを行っている。現時点では科学技術部傘下に 4 つ、工業情報化部、農業農村部と国家衛生健康委員会の傘下にそれぞれ 1 つ、計 7 つの研究資金専門管理機関がある。
なお2018 年 3 月に発表された国務院内の再編により、これまで国務院直属の機関であった国家自然科学基金委員会は、科学技術部の傘下に入ることになった。これにより、中央政府を財源とする競争的資金プログラムの大半が科学技術部の傘下に入る形となった。
参考資料
・中央人民政府HP 『国务院印发关于深化中央财政科技计划(专项、基金等)管理改革方案的通知』