はじめに
植物研究所 (Institute of Botany)は、1950年に旧北平研究院の2つの機関を接収して設置された。
さまざまなレベルにおける植物生物学研究を総合的に展開している。

1. 名称
○中国語表記:植物研究所 略称 植物所
○日本語表記:植物研究所
○英語表記:Institute of Botany 略称 IBCAS
2. 所在地
植物研究所 の所在地は、北京市海淀区香山南辛村20号である。
3. 沿革
植物研究所 の前身は、1928年に北京に設置された北平研究院静生生物調査所と1929年に同じく北京に設置された北平研究院植物研究所である。静生生物調査所の初代所長は、中国の近代生物学の基礎を築いた秉志である。
新中国が建国となり、中国科学院が設置されると、これらの研究機関は中国科学院に接収され、1950年に中国科学院植物分類研究所となり、さらに1953年に植物研究所となった。
4. 組織の概要
(1)研究分野
植物研究所 は、さまざまなレベルにおける植物生物学研究を総合的に展開し、システムと進化、植生と環境の変化、分子生物学、光合成、植物資源利用などを研究している。
(2)主な研究組織
植物研究所の主な研究組織は以下のとおりである。
・分類・進化植物学国家重点実験室(系统与进化植物学国家重点实验室)
・植生・環境変化国家重点実験室(植被与环境变化国家重点实验室)
・中国科学院植物分子生理学重点実験室(中国科学院植物分子生理学重点实验室)
・中国科学院光生物学重点実験室(中国科学院光生物学重点实验室)
・中国科学院北方資源植物重点実験室(中国科学院北方资源植物重点实验室)
これとは別に植物研究所は、アジア最大といわれる植物標本館(国家植物标本资源库)や、内モンゴル、湖北省などに8つの野外観測点(野外台站)を有している。
5. 規模
(1)職員数
植物研究所の2021年現在の職員総数は578名で、中国科学院の中では30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)予算
植物研究所の2021年予算額は4億9,535万元で、中国科学院の中では30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)研究生
植物研究所の2021年現在の在所研究生総数は805名で、中国科学院の中では第15位である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
6. 研究開発力
(1)国家級実験室など
植物研究所は、2つの国家重点実験室を有している(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
・分類・進化植物学国家重点実験室(系统与进化植物学国家重点实验室):2005年に設置された。植物分類、化石分析、構造植物学、細胞学などを研究している。
・植生・環境変化国家重点実験室(植被与环境变化国家重点实验室):2007年に設置された。環境変化に対する植生反応、環境変化における植物の適応、植生多様性の形成メカニズムと保護、植生の構造と機能の最適制御、植生パターンと動態などを研究している。
(2)NSFC面上項目獲得額
NSFC一般プログラム(面上項目、general program)の獲得資金額は1,765万元(30件)であり、中国科学院の中では第13位である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
7. 研究成果
(1)Nature Index
Nature Index2022では、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)特許出願数
2021年の特許出願数は26件で、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)成果の移転収入
2021年研究成果移転収入は、中国科学院内の9位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(4)両院院士数
2024年2月時点で所属する両院の院士は4名であり、中国科学院内のランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
〇中国科学院院士(4名):洪德元、匡廷云、方精云、种康
参考資料
・植物研究所HP http://www.ib.cas.cn/
・中国科学院HP https://www.cas.cn/
・中国科学院統計年鑑2022 中国科学院発展企画局編