The founding era of the People's Republic of China
ここでは、1949年に中国共産党により設立された中華人民共和国の建国期の歴史を概観し、科学技術に関係する政策、事件などについて触れる。
建国期の科学技術政策の概要
建国期の科学技術政策は、日中戦争や国共内戦での破壊と混乱を経て、経済を発展させて国力を増強させることを主眼としたもので、スローガンは、「科学に向かって邁進(向科学進軍)」であった。
中国科学院学部委員(現中国科学院院士)
中国科学院学部委員は、科学者の智恵を結集し中国の科学技術を振興するため指名されるもので、1955年に開始された。現在は、中国科学院院士と呼ばれており、中国の科学者の最高栄誉と考えられている。
「科学に向かって邁進(向科学進軍)」
科学に向かって邁進(向科学進軍)は、1956年に周恩来国務院総理が中国の科学技術情勢について行った演説のテーマであり、1949年から1960年代までの中国の科学技術のスローガンとなった。
十四条の意見の公表
十四条の意見(正式名称:「自然科学研究機関の当面の活動に関する十四条の意見(草案):关于自然科学研究机构当前工作的十四条意见(草案)」)は、大躍進政策やその後の天災などの影響で苦境に陥った科学技術の秩序回復を目指して公表された中国共産党の政策である。
「科学技術発展計画綱要(1963年~1972年)」
大躍進後の政治改革や経済調整の実施により、経済が徐々に立ち直りつつあった1963年に、前記の科学技術発展遠景計画綱要策定後における中国と世界の科学技術発展状況を踏まえ、「科学技術発展計画綱要:科学技术发展规划纲要(1963年~1972年)」が策定された。
参考資料
・JST中国総合研究・さくらサイエンスセンター『中国の科学技術の政策変遷と発展経緯(PDF)』2019年
・天児慧『中華人民共和国史』岩波新書 2013年
・天児慧『中国の歴史11 巨龍の胎動』講談社 2004年
・安藤正士『現代中国年表1941-2008』岩波書店 2010年