高考の開始(1952年)

 高考の開始は1952年であり、高考により中国全土の大学入試が統一・共通化され、その後の大学の発展に重要な役割を果たした。

科挙の制度

 古代からの中国の人材選抜制度として有名なものは「科挙」であり、伝統的に官僚へ登用するための手続きをそう呼んでいる。
 科挙を開始したのは随の文帝(楊堅)で、家柄や身分に関係なく誰でも受験できる公平な試験で、才能ある個人を官吏に登用する制度として、世界的に見ても画期的な制度であった。

 しかし、近代に至り欧米列強が中国侵略を開始すると、硬直的なシステムとなっていた科挙に合格した官僚は時代遅れの存在となり、清末の1904年に科挙は廃止された。

高考の開始

 清末から中華民国の時代に、中国国内では国立大学や欧米の教会による大学などが設立されていったが、科挙のような全国一律の試験はなく、それぞれの大学で新入生の選抜が続いた。

 新中国建国後の1952年に、全ての大学が参加し全国一律で新入生選抜を行う「全国普通高等学校招生入学考試(通称は高考)」が開始された。
 その後文化大革命の時代には、高考はエリートを選抜するものとして糾弾の対象となり、1966年に中断された。
 文革終了後の1977年に復活し、2008年には「普通高等学校招生全国統一考試」と改称された(通称は高考のまま)。

 中国の大学は欧米と同じく9月入学のため、毎年6月に試験が行われる。日本と違い各大学や専攻ごとの試験は原則行われず、この高考の試験結果のみで合否が判断される。

参考資料

・JST中国総合研究・さくらサイエンスセンター『中国の科学技術の政策変遷と発展経緯(PDF)』2019年