中国の優れた女性科学者を取り上げたい。
１．これまでに取り上げた科学者
中国の優れた女性科学者は、日本などと比較して多く存在してきた。これは、中華人民共和国建国などの過程で西欧列強や日本の侵略に立ち向かうため、男性だけでなく女性の力も必要とした事情がある。それでも、中国社会にある女性蔑視の風潮には逆らえない面もあって、欧米などに比較するとまだ優れた女性研究者の割合は少ない。
この状況は近年徐々に変わりつつあり、その決定的な契機となったのは、屠呦呦（Tu Youyou、1930年～）氏による2015年のノーベル生理学・医学賞受賞である。新中国建国前に米国などに移住し、中華民国籍でノーベル賞を受賞した科学者は何人かいるが、建国後に中華人民共和国の国籍でのノーベル賞受賞は、女性である屠呦呦が初めてとなった。
中国の優れた女性科学者は、これまでいくつかのカテゴリーにより本HPで取り上げている。下記の15名は、これらすでに本HPで取り上げた女性科学者を生年順にリストアップしたものであり、青色となった名前をクリックすると、当該の記事が開く。
なお、これら15名を中国の優れた女性科学者として選定した理由は、こちらを参照されたい。
〇林巧稚（Qiaozhi Lin、1901年～1983年）：産婦人科学。中国人の母。
〇呉健雄（吴健雄、Chien-Shiung Wu、1912年～1997年）：素粒子物理。中国のキュリー夫人。
〇王承書（王承书、Cheng Shu Wang、1912年～1994年）：ウラン濃縮技術。両弾一星政策に関与。
〇何沢慧（何泽慧、Zehui He、1914年～2011年）：宇宙線研究。
○謝希徳（谢希德、Xide Xie、1921年～2000年）：固体物理学。女性で初の復旦大学学長。
〇屠呦呦（Tu Youyou、1930年～）：マラリア研究。ノーベル賞受賞。
○李方華（李方华、Fanghua Li、1932年～2020年）：電子顕微鏡研究。
〇バージニア・リー（Virginia Man-Yee Lee、李文渝、1945年～）：神経変性疾患。
○リリー・ジャン（Lily Yeh Jan、葉公杼、1947年～）：生理学。
〇ライサン・ヤン (Lai-Sang Young、楊麗笙、1952年～）：動的システムの理論研究。
○ユアン・チャン（Yuan Chang、張遠、1959年～）：がん研究。
○ジャッキー・イン（Jackie Yi-Ru Ying、1966年～）：ナノテクノロジー研究
〇王小雲（王小云、Xiaoyun Wang、1966年～）：暗号研究。
〇ゼナン・バオ（Zhenan Bao、鲍哲南、1970年～）：人工皮膚研究。
〇シャオウェイ・チュアン（Xiaowei Zhuang、庄小威、1972年～）：確率的光学再構築顕微鏡研究。
2. これから取り上げる女性科学者
上記の15名に加えて、中国の優れた女性科学者として、次の15名を順次取り上げていきたい（2025年6月開始）。記事が本HPに掲載されると、当該の科学者の名前が青で示される。これをクリックすると記事が開く。これらを中国の優れた女性科学者として選定した理由は、こちらを参照されたい。
〇張弥曼（张弥曼、Meemann Chang、1936年～）：古脊椎動物学
〇李蘭娟（李兰娟、Lanjuan Li、1947年～）：感染症 浙江大学医学院
〇葉玉如（叶玉如、Nancy Chu Ip Yuk-yu、1955年～）：神経生物学、香港科技大学学長
〇任咏華（任詠华、Vivian Wing-Wah Ya、1963年～）：無機化学
〇底青雲（底青云、Qingyun Di、1964年～）地質・地球物理研究所所長
〇石正麗（石正丽、Zhengli Shi、1964年～）：ウィルス研究 武漢ウィルス研究所 コウモリ博士
〇李蓬（Peng Li、1965年～）：鄭州大学学長
〇陳薇（陈薇、Wei Chen、1966年～）：免疫学 軍事医学科学院
〇謝毅（谢毅、Yi Xie、1967年～）：分析化学
〇盧宇彤（卢宇彤、Yutong Lu、1969年～）計算機科学 国家超级计算深圳中心主任
〇陳化蘭（陈化兰、Hualan Chen、1969年～）：病原生理学
〇黄如（Ru Huan、1969年～）：前東南大学学長
〇胡海嵐（胡海岚、Hailan Hu、1973年～）：神経科学
〇顔寧（颜宁、Ning Yan、1977年～）：分子生物学
〇徐穎（徐颖、1983年～）：衛星・情報処理 空天信息创新研究院 北斗の女神
参考資料
・中国科学院HP https://www.cas.cn/