2025年6月に、国内で評価の高い科学者を見直して、次の人たちを追加した。

1.行政的に高い地位に就いた科学者

2025年の科学者追加の一人万鋼の写真
万鋼・元科学技術部長 政府网HPより引用

 2025年の科学者追加の最初のカテゴリーとして、行政的に高い地位に就いた科学者を取り上げる。

 中国では、科学技術的なバックグラウンドを生かして、政府の大臣などの要職に就いた科学者がいる。中国政府である国務院において科学技術を統括し政策を企画立案するのは科学技術部である。この科学技術部の部長(大臣)が、このカテゴリーの科学者の典型であり、それ以外にも衛生部長などを経験した科学者がいる。また、中国科学院は、研究開発活動を自ら行っており、研究機関的な面を有するが、中国の政府である国務院の部局であることや、大学機能や顕彰機能を有しているので、中国科学院の院長もこのカテゴリーの典型と考えられる。

 このような科学者から、次の6名の人たちを本HPの記事で取り上げることとしたい。
○万鋼(万钢、Gang Wan、1952年~)元国務院科学技術部長
○白春礼(Chunli Bai、1953年~)前中国科学院院長
○陳竺(陈竺、Zhu Chen、1953年~)元国務院衛生部長
○侯建国(Jianguo Hou、1959年~)現中国科学院院長
○陰和俊(Hejun Yin、阴和俊、1963年~)現国務院科学技術部長
○陳吉寧(陈吉宁、Jining Chen、1964年~)元清華大学学長、元国務院環境保護部長、現上海市共産党委員会書記

2.日経アジア賞を受賞した中国人科学者

楊煥明の写真
楊煥明 BGIのHPより引用

 2025年の科学者追加の二つ目のカテゴリーとして、日経アジア賞(現在は日経アジアアワード)の中国人受賞者を取り上げる。

 日経アジア賞は、日本経済新聞社の創立120年を記念して、1996年に設立された賞である。その後、2021年に日経アジアアワードとなった。同賞は、アジアの発展に寄与した人たちに贈られる賞である。

 1996年の同賞発足以来、以下の6名の中国人科学者(台湾人を除く)が同賞を受賞している。氏名の後のカッコ内は、受賞時点での肩書である。
○第1回(1996年) 袁隆平(湖南雑交水稲研究中心主任)
○第4回(1999年) 趙其国(前中国科学院南京土壌研究所所長)
○第8回(2003年) 楊煥明(北京ゲノム研究所主任)
○第19回(2014年) 高福(中国科学院病原微生物・免疫学重点実験室 主任・教授)
○第20回(2015年) 王貽芳(中国科学院高能物理研究所所長)
○第21回(2016年) 江雷(中国科学院理化技術研究所教授)

 このうち、袁隆平と趙其国は死去しており、王貽芳は既に取り上げている。袁龍平についての詳細はこちらを、王貽芳の詳細についてはこちらを、それぞれ参照されたい。

 そこで、このカテゴリーでは、楊煥明、高福、江雷の3名を取り上げる。
〇楊煥明(杨焕明、Huanming Yang、1952年~)華大基因理事長
〇高福(Gao Fu、1961年~)中華医学会副会長
〇江雷(Jiang Lei、1965年~)中国科学院大学未来科学技術学院学長

3. 筆者による追加

鐘南山の写真
鐘南山 百度HPより引用

 2025年の科学者追加の三つ目のカテゴリーとして、これまで筆者と面談したり業績を調べたりして、印象に残った次の科学者4名を取り上げる。

○鐘南山(钟南山、Nanshan Zhong、1936年~)著名呼吸器病学者
○江綿恒(江绵恒、Mianheng Jiang、1951年~)前上海科技大学学長
〇万立駿(万立骏、Lijun Wan、1957年~)元中国科学技術大学学長
○周琪(Qi Zhou、1970年~)中国科学院副院長 中国科学院大学学長

 以上、上記の三つのカテゴリーで、合計13名の科学者を追加することとし、2025年6月から順次、本HPで記事を掲載していく。

参考資料

・日経アジアアワードHP https://nikkeiasiaaward.org/jp/index.html
・BGI HP 华大集团联合创始人、董事、理事长 杨焕明
https://en.genomics.cn/team-rlycxyj-340.html