初稿 2023年9月
修正 2024年9月
はじめに
ここでは、著名な国際賞からノーベル賞受賞につながる可能性のある賞を選定し、その賞を受賞した日本人研究者を選定した。国際賞のリストはこちらを参照されたい。
その上で、ノーベル賞を既に受賞した人と死亡した人を除外し、現在存命の研究者のリストを作成した。
現存の日本人研究者受賞リスト
日本人で今後ノーベル賞受賞の可能性のある研究者を、以下にリストアップした。
著名な国際賞の受賞者は全体で92名であるが、このうちでノーベル賞を受賞した人(受賞後の死亡者も含む)が15名であり、国際賞を受賞したがノーベル賞受賞とならず死去した人が33名いるので、現在活躍中で今後ノーベル賞受賞の可能性のある人は43名となる。
43名を、著名な国際賞の受賞数で分類したのが下記である。5度受賞が1名、4度受賞が1名、3度受賞が1名、2度受賞が7名、1度の受賞が33名である。それぞれの分類では、受賞年次の新しい人を上位にランクした。
(1)国際賞5度受賞(1名)
・森 和俊 ブレイクスルー賞(2018年)、ラスカー賞(2014年)、ショウ賞(2014年)、ガードナー国際賞(2009年)、ワイリー賞(2005年)
(2)国際賞4度受賞(1名)
・岸本忠三 キング・ファイサル国際賞(2017年)、日本国際賞(2011年)、クラフォード賞(2009年)、ロベルト・コッホ賞(2003年)
(3)国際賞3度受賞(1名)
・坂口志文 ロベルト・コッホ賞(2020年)、クラフォード賞(2017年)、ガードナー国際賞(2015年)
(4)国際賞2度受賞(7名)
・竹市雅俊 ガードナー国際賞(2020年)、日本国際賞(2005年)
・金森博雄 ウィリアム・ボウイ・メダル(2014年)、京都賞(2007年)
・岩崎俊一 ベンジャミン・フランクリン・メダル(2014年)、日本国際賞(2010年)
・平野俊夫 日本国際賞(2011年)、クラフォード賞(2009年)
・審良静男 ガードナー国際賞(2011年)、ロベルト・コッホ賞(2004年)
・飯島澄男 バルザン賞(2007年)、ベンジャミン・フランクリン・メダル(2002年)
・小川誠二 ガードナー国際賞(2003年)、日本国際賞(2003年)
(5)国際賞1度受賞(33名)
・笠 真生 ディラック賞(2024年)
・高柳 匡 ディラック賞(2024年)
・柳沢正史 ブレイクスルー賞(2023年)
・菅 裕明 ウルフ賞化学部門(2023年)
・松波弘之 エジソン・メダル(2023年)
・中沢正隆 日本国際賞(2023年)
・萩本和男 日本国際賞(2023年)
・香取秀俊 ブレイクスルー賞(2022年)
・伊賀健一 エジソン・メダル(2021年)
・岡本佳男 日本国際賞(2019年)
・藤田 誠 ウルフ賞化学部門(2018年)
・檜山爲次郎 キッピング賞(2018年)
・澤本光男 ベンジャミン・フランクリン・メダル (2017年)
・三村高志 京都賞(2017年)
・細野秀雄 日本国際賞(2016年)
・金出武雄 京都賞(2016年)
・国武豊喜 京都賞(2015年)
・太田朋子 クラフォード賞(2015年)
・末松安晴 日本国際賞(2014年)
・西 美緒 チャールズ・スターク・ドレイパー賞(2014年)
・吉良満夫 キッピング賞(2012年)
・佐川眞人 日本国際賞(2012年)
・河岡義裕 ロベルト・コッホ賞(2006年)
・関口 章 キッピング賞(2006年)
・三田一郎 J.J.サクライ賞(2004年)
・藤嶋 昭 日本国際賞(2004年)
・久城育夫 ウォラストン・メダル(2003年)
・玉尾皓平 キッピング賞(2002年)
・吉川弘之 日本国際賞(1997年)
・嶋 正利 京都賞(1997年)
・藤原哲朗 キング・ファイサル国際賞(1996年)
・長田重一 ロベルト・コッホ賞(1995年)
・谷口維紹 ロベルト・コッホ賞(1991年)
データ1 各国際賞での日本人研究者受賞者リスト
○ウルフ賞(数学部門を除く)
早石修(1986年、医学)、西塚泰美(1994年、医学)、南部陽一郎(1994年、物理学)、小柴昌俊(2000年、物理学)、野依良治(2001年、化学)、山中伸弥(2011年、医学)、藤田誠(2018年、化学)、菅裕明(2023年、化学)
○ベンジャミン・フランクリン・メダル
外村彰 (1999年)、飯島澄男 (2002年)、中村修二 (2002年)、小柴昌俊 (2003年)、南部陽一郎 (2004年)、戸塚洋二 (2007年)、岩崎俊一 (2014年)、真鍋淑郎 (2015年)、澤本光男 (2017年)
○バルザン賞
飯島澄男(2007年)、山中伸弥(2010年)
○キッピング賞
安藤亘(1996年)、玉尾皓平(2002年)、関口章(2006年)、吉良満夫 (2012年)、檜山爲次郎(2018年)
○ロベルト・コッホ賞
利根川進(1986年)、谷口維紹(1991年)、長田重一(1995年)、大村智(1997年)、岸本忠三(2003年)、審良静男(2004年)、河岡義裕(2006年)、山中伸弥(2008年)、本庶佑(2012年)、坂口志文(2020年)
○ラスカー賞
花房秀三郎(1982年)、利根川進(1987年)、西塚泰美(1989年)、増井禎夫(1998年)、遠藤章(2008年)、山中伸弥(2009年)、森和俊(2014年)
○ガードナー国際賞
石坂公成(1973年)、石坂照子(1973年)、増井禎夫(1992年)、小川誠二(2003年)、山中伸弥(2009年)、森和俊(2009年)、審良静男(2011年)、大隅良典(2015年)、坂口志文(2015年)、遠藤章(2017年)、竹市雅俊(2020年)
○ルイザ・グロス・ホロウィッツ賞
利根川進(1982年)
○ダーウィン・メダル
木村資生(1992年)
○ローゼンスティール賞
井上信也(1987年)、小西正一(2003年)、山中伸弥(2007年)、大隅良典(2015年)
○マスリー賞
遠藤章(2006年)、山中伸弥(2008年)
○ワイリー賞
森和俊(2005年)、大隅良典(2016年)
○ボルツマン賞
久保亮五(1977年)、川崎恭治(2011年)
○J・J・サクライ賞
益川敏英(1984年)、小林誠(1984年)、木下東一郎(1990年)、南部陽一郎(1994年)、三田一郎(2004年)、大久保進(2005年)
○ディラック賞
南部陽一郎(1986年)、笠真生(2024年)、高柳匡(2024年)
○ブルーノ・ロッシ賞
田中靖郎(2001年)
○クラフォード賞(数学を除く)
岸本忠三(2009年)、平野俊夫(2009年)、太田朋子(2015年)、坂口志文(2017年)、真鍋淑郎(2018年)
○ウィリアム・ボウイ・メダル
秋本俊一(1983年)、安芸敬一(2004年)、真鍋淑郎(2010年)、金森博雄(2014年)
○マックス・プランク・メダル
南部陽一郎(1985年)
○チャールズ・スターク・ドレイパー賞
奥村善久(2013年)、西美緒(2014年)、吉野彰(2014年)、赤﨑勇(2015年)、中村修二(2015年)
○エジソン・メダル
西澤潤一(2000年)、赤崎勇(2011年)、伊賀健一(2021年)、松波弘之(2023年)
○ウォラストン・メダル
久城育夫(2003年)
○ブルース・メダル
林忠四郎(2004年)
○日本国際賞
伊藤正男(1996年)、杉村隆(1997年)、吉川弘之(1997年)、江崎玲於奈(1998年)、石坂公成(2000年)、小川誠二(2003年)、本多健一(2004年)、藤嶋昭(2004年)、長尾真(2005年)、竹市雅俊(2005年)、遠藤章(2006年)、岩崎俊一(2010年)、岸本忠三(2011年)、平野俊夫(2011年)、佐川眞人(2012年)、末松安晴(2014年)、高橋裕(2015年)、細野秀雄(2016年)、吉野彰(2018年)、岡本佳男(2019年)、中沢正隆(2023年)、萩本和男(2023年)
○京都賞(基礎科学部門数理科学分野を除く)
林忠四郎(1995年)、嶋正利(1997年)、林厳雄(2001年)、井口洋夫(2007年)、金森博雄(2007年)、赤崎勇(2009年)、山中伸弥(2010年)、大隅良典(2012年)、根井正利(2013年)、国武豊喜(2015年)、本庶佑(2016年)、金出武雄(2016年)、三村高志(2017年)、柳町隆造(2023年)
○ショウ賞(数学部門を除く)
山中伸弥(2008年)、森和俊(2014年)
○キング・ファイサル賞
藤原哲郎(1996年)、野依良治(2000年)、中西香爾(2003年)、山中伸弥(2011年)、岸本忠三(2017年)
○ブレイクスルー賞(集団での受賞を除く)
山中伸弥(2013年)、大隅良典(2017年)、森和俊(2018年)、香取秀俊(2022年)、柳沢正史(2023年)
データ2 国際賞を受賞し、ノーベル賞も受賞した日本人研究者(死去した人も含む)(15名)
・江崎玲於奈 ノーベル物理学賞(1973年) 日本国際賞を受賞
・利根川進 ノーベル生理学・医学賞(1987年) ロベルト・コッホ賞、ラスカー賞、ルイザ・グロス・ホロウィッツ賞を受賞
・野依良治 ノーベル化学賞(2001年) ウルフ賞化学部門、キング・ファイサル国際賞を受賞
・小柴昌俊 ノーベル物理学賞(2002年) ウルフ賞物理学部門、ベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞 2020年に死去
・南部陽一郎 ノーベル物理学賞(2008年) ウルフ賞物理学部門、ベンジャミン・フランクリン・メダル、J・J・サクライ賞、ディラック賞、マックス・プランク・メダルを受賞。 2015年に死去
・益川敏英 ノーベル物理学賞(2008年) J・J・サクライ賞を受賞
・小林 誠 ノーベル物理学賞(2008年) J・J・サクライ賞を受賞
・山中伸弥 ノーベル生理学・医学賞(2012年) ウルフ賞医学部門、バルザン賞、ロベルト・コッホ賞、ラスカー賞、ガードナー国際賞、ローゼンスティール賞、マスリー賞、京都賞、ショウ賞、キング・ファイサル国際賞、ブレイクスルー賞を受賞
・中村修二 ノーベル物理学賞(2014年) ベンジャミン・フランクリン・メダル、チャールズ・スターク・ドレイパー賞を受賞
・赤崎 勇 ノーベル物理学賞(2014年) チャールズ・スターク・ドレイパー賞、エジソン・メダル、京都賞を受賞 2021年死去
・大村 智 ノーベル生理学・医学賞(2015年) ロベルト・コッホ賞を受賞
・大隅良典 ノーベル生理学・医学賞(2016年) ガードナー国際賞賞、ローゼンスティール賞、ワイリー賞、京都賞、ブレイクスルー賞を受賞
・本庶 佑 ノーベル生理学・医学賞(2018年) ロベルト・コッホ賞、京都賞を受賞
・吉野 彰 ノーベル物理学賞(2019年) チャールズ・スターク・ドレイパー賞、日本国際賞を受賞
・真鍋淑郎 ノーベル物理学賞(2021年) ベンジャミン・フランクリン・メダル、ウィリアム・ボウイ・メダル、クラフォード賞を受賞
データ3 国際賞を受賞した後、死去した日本人研究者(33名)
・早石 修 ウルフ賞医学部門を受賞 2015年に死去
・西塚泰美 ウルフ賞医学部門、ラスカー賞、ガードナー国際賞、京都賞を受賞 2004年に死去
・外村 彰 ベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞 2012年に死去
・戸塚洋二 ベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞 2008年に死去
・安藤 亘 キッピング賞を受賞 2021年に死去
・花房秀三郎 ラスカー賞を受賞 2009年に死去
・遠藤 章 ラスカー賞、ガードナー国際賞、マスリー賞、日本国際賞を受賞 2024年に死去
・増井禎夫 ラスカー賞、ガードナー国際賞を受賞 2024年に死去
・石坂公成 ガードナー国際賞、日本国際賞を受賞 2018年に死去
・石坂照子 ガードナー国際賞を受賞 2019年に死去
・木村資生 ダーウィン・メダルを受賞 1994年に死去
・井上信也 ローゼンスティール賞を受賞 2019年に死去
・小西正一 ローゼンスティール賞を受賞 2020年に死去
・久保亮五 ボルツマン賞を受賞 1995年に死去
・川崎恭治 ボルツマン賞を受賞 2021年に死去
・木下東一郎 J・J・サクライ賞を受賞 2023年に死去
・大久保進 J・J・サクライ賞を受賞 2015年に死去
・田中靖郎 ブルーノ・ロッシ賞を受賞 2018年に死去
・秋本俊一 ウィリアム・ボウイ・メダルを受賞 2004年に死去
・安芸敬一 ウィリアム・ボウイ・メダルを受賞 2005年に死去
・奥村善久 チャールズ・スターク・ドレイパー賞を受賞 2023年に死去
・西澤潤一 エジソン・メダルを受賞 2018年に死去
・林忠四郎 ブルース・メダル、京都賞を受賞 2010年に死去
・伊藤正男 日本国際賞を受賞 2018年に死去
・杉村 隆 日本国際賞を受賞 2020年に死去
・本多健一 日本国際賞を受賞 2011年に死去
・長尾 真 日本国際賞を受賞 2021年に死去
・高橋 裕 日本国際賞を受賞 2021年に死去
・林 厳雄 京都賞を受賞 2005年に死去
・井口洋夫 京都賞を受賞 2014年に死去
・根井正利 京都賞を受賞 2023年に死去
・柳町隆造 京都賞を受賞 2023年に死去
・中西香爾 キング・ファイサル国際賞を受賞 2019年に死去