第14次五か年計画では、第三編が産業政策、第五編がデジタル中国について記述しており、以下に科学技術イノベーションに関係のある記述を中心に述べる。

1. 産業政策(第三編)

 第三編は「近代的産業体系の発展の加速、実体経済の土台の強化と発展」である。製造強国、品質強国としての地位を強化し、科学技術イノベーション、金融、人的資源が調和的に発展する近代的産業体系を構築する。

(1)製造業における競争力向上分野

 次の8つの分野で、研究開発・応用を推進する。
①ハイテク新材料(レアアース機能性材料等)
②重要技術設備(高速鉄道、ハイエンド工作機械等)
③スマート製造とロボット技術
④航空用エンジンとガスタービン
⑤「北斗」衛星測位システムの産業化と応用
⑥新エネルギー車とインテリジェントカー
⑦ハイエンド医療機器と新創薬⑧農業機械・設備。

(2)戦略的新興産業

 戦略的新興産業を発展させ、同産業の付加価値をGDP比の17%以上を占めるまでにする。

 具体的な分野として、次世代情報技術、バイオテクノロジー、新エネルギー、新材料、ハイエンド機器、新エネルギー車、グリーン環境保護、航空宇宙、海洋設備等の新興産業に焦点を当てる。
 また、未来型産業の分野として、脳型知能、量子情報、遺伝子技術、未来型インターネット、深海・深宇宙開発、水素エネルギー、エネルギー貯蔵等の最先端分野と産業改革分野に焦点を当てる。

2. デジタル中国の建設(第五編)

 第五編は「デジタル化の加速とデジタル中国の建設」である。デジタル時代を迎え、インターネット強国の建設を推進する。デジタル経済、デジタル社会、デジタル政府の建設を加速し、デジタル化によって生産、生活および管理方式を改革する。

(1)デジタル技術のイノベーション強化

 ハイエンドチップ、オペレーティングシステム(OS)、人工知能アルゴリズム、センサ等の分野で、基礎理論、アルゴリズム、設備材料等の研究開発を加速する。
 汎用プロセッサ、クラウドコンピューティングシステムおよびソフトウェアのコア技術の研究開発を強化する。量子コンピュータ、量子通信、ニューラル・チップ、DNAストレージ等の先端技術の開発を加速する。

(2)デジタル産業化の推進

 新興デジタル産業として次の7分野を育成する。
①クラウドコンピューティング
②ビッグデータ
③IoT
④インダストリアル・インターネット
⑤ブロックチェーン
⑥人工知能
⑦仮想現実(VR)と拡張現実(AR)。

 これに加えて、通信設備、中核電子デバイス、重要ソフトウェア等の産業レベルを高める。スマート交通、スマート物流、スマートエネルギー、スマート医療等でモデル事業を実施する。

(3)デジタル社会の建設

 高度交通システム、スマートエネルギー、スマート生産やスマート教育等などの社会実装により、スマートな公共サービスの提供、都市や農村開発におけるスマートシティやデジタルヴィレッジの構築、新型デジタルライフの構築を促進する。