中国では、中国共産党の軍隊である人民解放軍もライフサイエンスに重要な役割を果たしている。そのほか地方政府も重要である。

1. 人民解放軍と中央軍事委員会

 中国人民解放軍は、中国共産党が指導する中国の軍隊である。中央軍事委員会は人民解放軍を指導する共産党の機関で、メンバーは主席、副主席、委員の合計7名により構成される。現在の主席は、中国共産党総書記である習近平が兼務している。
 これらの関係組織を図示したのが下図である。

中央軍事委員会と人民解放軍の組織図
中央軍事委員会と人民解放軍の組織


 人民解放軍は、陸軍・海軍・空軍・ロケット軍・戦略支援部隊の5軍からなる。中央軍事委員会の直属機関として、後勤保障部、装備発展部、軍事科学院などがある。

 中国では、軍隊における様々な要請は、中国共産党や国務院にとって極めて重要であり、その観点からライフサイエンス関連の政策や研究開発に対して大きな影響力を有している。

2. 地方政府

 中国の地方政府は、中央政府と協力しつつも独立してライフサイエンス研究の振興政策を実施している。とりわけ北京市、上海市、深圳市、あるいは広東省、江蘇省などの比較的豊かな市や省は、自らの地域の特性を生かして中央政府に匹敵するような研究開発や施設への投資を実施している。