1. 分野別の比較
以下に、順次結果のみを列記していく。
(1)エネルギー分野
全体 欧州~米国~日本>中国~韓国
基礎 欧州~米国~日本>中国~韓国
応用・開発 欧州~米国~日本>中国~韓国
○分野全体
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 45 | 50 | 57 | 9 | 5 |
○ | 38 | 36 | 29 | 49 | 32 |
△ | 8 | 6 | 6 | 28 | 48 |
× | 1 | 0 | 0 | 3 | 5 |
○基礎
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 20 | 26 | 26 | 2 | 2 |
○ | 24 | 17 | 19 | 29 | 17 |
△ | 2 | 3 | 1 | 12 | 24 |
× | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 |
○応用・開発
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 25 | 24 | 31 | 7 | 3 |
○ | 14 | 19 | 10 | 20 | 15 |
△ | 6 | 3 | 5 | 16 | 24 |
× | 1 | 0 | 0 | 1 | 3 |
(2)環境分野
全体 欧州~米国>日本>中国~韓国
基礎 米国~欧州>日本>韓国~中国
応用・開発 欧州>米国>日本~中国~韓国
○分野全体
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 13 | 31 | 36 | 2 | 1 |
○ | 29 | 12 | 8 | 25 | 10 |
△ | 2 | 1 | 0 | 17 | 32 |
× | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
○基礎
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 10 | 19 | 17 | 0 | 1 |
○ | 11 | 4 | 6 | 16 | 7 |
△ | 2 | 0 | 0 | 7 | 14 |
× | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
○応用・開発
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 3 | 12 | 19 | 2 | 0 |
○ | 18 | 8 | 2 | 9 | 3 |
△ | 0 | 1 | 0 | 10 | 18 |
× | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
(3)システム・情報科学技術分野
全般 米国>欧州>日本>中国~韓国
基礎 米国>欧州~日本>中国~韓国
応用・開発 米国>欧州>日本~中国~韓国
○分野全体
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 15 | 64 | 29 | 6 | 3 |
○ | 48 | 9 | 38 | 30 | 24 |
△ | 12 | 2 | 8 | 25 | 33 |
× | 0 | 0 | 0 | 5 | 9 |
○基礎
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 10 | 30 | 15 | 3 | 0 |
○ | 22 | 6 | 20 | 13 | 17 |
△ | 6 | 2 | 3 | 16 | 13 |
× | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 |
○応用・開発
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 5 | 34 | 14 | 3 | 3 |
○ | 26 | 3 | 18 | 17 | 7 |
△ | 6 | 0 | 5 | 9 | 20 |
× | 0 | 0 | 0 | 4 | 4 |
(4)ナノテクノロジー・材料分野
全体 米国~欧州>日本>中国~韓国
基礎 米国~日本~欧州>中国~韓国
応用・開発 米国~欧州>日本>中国~韓国
○分野全体
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 45 | 58 | 55 | 10 | 7 |
○ | 35 | 22 | 23 | 48 | 33 |
△ | 0 | 0 | 1 | 19 | 34 |
× | 0 | 0 | 1 | 3 | 6 |
○基礎
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 28 | 28 | 27 | 4 | 2 |
○ | 12 | 12 | 13 | 23 | 16 |
△ | 0 | 0 | 0 | 12 | 21 |
× | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
○応用・開発
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 17 | 30 | 28 | 6 | 5 |
○ | 23 | 10 | 10 | 25 | 17 |
△ | 0 | 0 | 1 | 7 | 13 |
× | 0 | 0 | 1 | 2 | 5 |
(5)ライフサイエンス・臨床医学分野
全般 米国>欧州>日本>中国~韓国
基礎 米国>欧州>日本>中国~韓国
応用・開発 米国>欧州>日本~中国~韓国
○分野全体
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 25 | 81 | 55 | 10 | 4 |
○ | 58 | 15 | 40 | 37 | 30 |
△ | 14 | 1 | 2 | 39 | 48 |
× | 0 | 0 | 0 | 5 | 9 |
○基礎
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 19 | 43 | 31 | 5 | 2 |
○ | 26 | 6 | 18 | 22 | 17 |
△ | 4 | 0 | 0 | 19 | 25 |
× | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 |
○応用・開発
日本 | 米国 | 欧州 | 中国 | 韓国 | |
◎ | 6 | 38 | 24 | 5 | 2 |
○ | 32 | 9 | 22 | 15 | 13 |
△ | 10 | 1 | 2 | 20 | 23 |
× | 0 | 0 | 0 | 4 | 5 |
2. CRDSの2017年調査
元データとなるCRDSの2017年国際比較の調査方法について、概略を述べる。
俯瞰報告書と国際比較
2017年の俯瞰報告では、①エネルギー分野、②環境分野、③システム・情報科学技術分野、④ナノテクノロジー・材料分野、⑤ライフサイエンス・臨床医学分野の5分野に分け、その分野ごとの研究開発状況を整理し可視化した俯瞰報告書を作成している。
この俯瞰報告書では、CRDSの関係者がそれぞれの分野の専門家との意見交換やワークショップを通じて研究開発現場で共有されている情報を確認し、主要国(原則として日本、米国、欧州、中国、韓国)を対象とした研究開発領域ごとの国際比較を掲載している。
国際技術力比較の詳細
①研究開発領域ごとの比較
技術力の比較は、基礎および応用・技術開発という2つの観点で行っている。
・基礎:大学 ・ 国研などでの基礎研究レベル
・応用・開発:技術開発(プロトタイプの開発含む)や量産技術のレベル
これらに関する各国の技術力の「現状」を、◎:他国に比べて顕著な活動・成果が見えている、 ○:ある程度の活動・成果が見えている、 △:他国に比べて顕著な活動・成果が見えていない、 ×:特筆すべき活動・成果が見えていない、の4段階で行っている。
②国・地域
国、地域のカテゴリーは、原則として、日本、米国、欧州、中国、韓国とし、その他の国、地域は必要に応じて追記している。
全体の研究開発領域数
2017年の俯瞰報告書の5つの分野における研究開発領域数は、下記に示すとおり全体で168に上っている。これらの詳しい研究開発領域名は、別添の参考に示すとおりである。これらの研究開発領域に関して、2年の期間をかけて国内の専門家の英知を結集してとりまとめている。
分野 | 研究開発領域 |
エネルギー | 31 |
環境 | 15 |
システム・情報科学技術 | 36 |
ナノテクノロジー・材料 | 37 |
ライフサイエンス・臨床医学 | 49 |
合計 | 168 |
参考1 俯瞰報告書と掲載HP
・「研究開発の俯瞰報告書 本編 概要版(2017年)」 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター 2017年4月
・掲載HP http://www.jst.go.jp/crds/pdf/2016/FR/CRDS-FY2016-FR-08.pdf
参考2 各分野の研究開発領域名
CRDSが2017年に実施した研究開発の俯瞰調査において、調査5分野で取り扱っている研究開発領域を以下に列記する。
1.エネルギー分野(31 研究開発領域)
火力発電
CCUS(Carbon Capture Utilization and Strage)
新型原子力炉
核融合炉
原子力安全
使用済燃料等の処理処分・廃止措置
風力発電
地熱発電
太陽光発電
バイオマス
エネルギーシステム評価
分散協調型エネルギーマネジメントシステム
直流送配電・超電導送配電
パワーエレクトロニクス
蓄電デバイス
蓄熱技術
エネルギーキャリア
燃料電池
モータ・トランス磁石材料
スマートビル・ハウス
断熱・遮熱・調光
照明・ディスプレイ(有機 EL、量子ドット LED 等)
熱再生利用技術
触媒
分離技術
燃焼(全般)
エンジン燃焼(自動車)
ライボロジー
耐熱材料
高強度軽量材料
(註)原報告書では、俯瞰区分としてエネルギー供給、エネルギー利用、ネットワークの三区分があり、それぞれの研究開発領域がその俯瞰区分のいくつかに対応している。しかし各研究開発領域は、俯瞰区分ごとに整理されているわけではないため、ここでは俯瞰区分を記述しなかった。
2.環境分野(15 研究開発領域)
(1)気候変動
気候変動予測
影響予測・評価
(2)環境汚染・健康
大気汚染
水質汚染
土壌・地下水汚染
物質循環・環境動態
健康・環境影響
化学物質リスク管理
(3)生物多様性・生態系
生物多様性・生態系の把握・予測
生態系サービスの評価・管理
(4)循環型社会
水循環
農林水産業の環境研究
リサイクル・廃棄物処理
資源・生産・消費管理
環境都市
3.システム・情報科学技術分野(36研究開発領域)
(1)知のコンピューティング
知の集積・増幅・探索
予測と発見の促進
知のアクチュエーション
ELSI と社会適用
認知科学
脳情報システム
知的インタラクション
(2)CPS/IoT/REALITY 2.0
REALITY 2.0 による社会デザイン
ソフトウエアデファインドソサエティーのサービスプラットフォーム
モノ・ヒト・コトのスマートなサービス化技術
CPS/IoT/REALITY 2.0 アーキテクチャー
モノ・ヒト・コトのインターフェース
(3)社会システムデザイン
社会システムデザイン
(4)ビッグデータ
ビッグデータ処理基盤技術
機械学習技術
画像・映像解析技術
自然言語処理技術
ビッグデータ活用促進技術
ビッグデータによる価値創造ビッグデータに関わる制度設計
新計算原理
(5)ロボティクス
ロボティクスと社会
モビリティー・フィールドロボット
空中ロボット
生活支援・福祉ロボット
医療ロボット
産業用・研究開発用ロボット
システム化技術
ソフトロボティクス
認知発達ロボティクス
(6)セキュリティー
IoT セキュリティー
サイバー攻撃の検知・防御
認証・ID 連携
プライバシー情報の保護と利活用
セキュリティーアーキテクチャー
運用・監視技術
IT システムのためのリスクマネジメント
4.ナノテクノロジー・材料分野(37研究開発領域)
(1)環境・エネルギー応用
太陽電池
人工光合成
燃料電池
熱電変換
蓄電デバイス
パワー半導体
グリーン触媒
分離技術
(2)ライフ・ヘルスケア応用
生体材料(バイオマテリアル)
再生医療材料
ナノ薬物送達システム(ナノ DDS)
バイオ計測・診断デバイス
脳・神経計測
バイオイメージング
(3)ICT・エレクトロニクス応用
超低消費電力(ナノエレクトロニクスデバイス)
スピントロニクス
二次元機能性原子薄膜
フォトニクス
有機エレクトロニクス
MEMS・センシングデバイス
エネルギーハーベスティング
三次元ヘテロ集積
量子コンピューティング
ロボット基盤技術
(4)社会インフラ応用
構造材料(金属系、複合材料)
非破壊検査・劣化予測
接合・接着・コーティング(溶接・接合、接着、コーティング)
(5)機能と物質の設計・制御
空間・空隙構造制御
バイオミメティクス
分子技術
元素戦略・希少元素代替技術
データ駆動型物質・材料開発(マテリアルズ・インフォマティクス)
フォノンエンジニアリング
(6)共通基盤科学技術
加工・プロセス技術
ナノ・オペランド計測技術
物質・材料シミュレーション
(7)共通支援策
ナノテクノロジーの ELSI/EHS、国際標準
5.ライフサイエンス・臨床医学分野 (49研究開発領域)
(1)生命・健康・疾患科学
生体分子の科学(RNA、糖鎖、エクソソーム等)
生体機能の科学(時間科学、性差医学・生物学等)
免疫科学
脳・神経科学
老化科学
微生物叢(マイクロバイオーム)の科学
数理科学
生活習慣病(がん、代謝疾患、腎疾患)
精神・神経疾患
免疫疾患
感染症
(2)創薬基盤技術、医薬品
ゲノム解析、オミクス解析
生体再現技術 Ⅰ(臓器チップ
生体再現技術 Ⅱ(オルガノイド)
モデル動物
ゲノム編集
構造解析技術 Ⅰ(Wet)
構造解析技術 Ⅱ(Dry)
創薬・育薬技術(バイオマーカー、ドラッグリポジショニング等)
バイオ医薬(抗体医薬等)
核酸医薬
中分子医薬
細胞治療
遺伝子治療
(3)生体計測分析技術・医療機器
診断機器・技術
臨床検査機器・技術
治療機器・技術(手術支援システム、ロボット・デバイス)
治療機器・技術(人工臓器、生体機能補助・代行装置)
介護福祉・リハビリテーション支援機器
健康・予防医学関連機器
医療技術評価(医療機器)
生体イメージング機器・技術
生体分子計測技術
プロファイリング・解析技術
(4)食料・バイオリファイナリー
グリーンバイオ関連基礎科学
バイオリファイナリー
作物増産技術
持続型農業
高機能高付加価値作物
食品原料(機能性成分)
リン・レアメタル回収
(5)健康・医療・農業データ科学
生命科学データベース
医療データ活用基盤技術
疫学・コホート
健康・医療・介護情報
AI 医療応用
予防・個別化医療
医療資源配分
スマート農業