ここでは、日本、米国、欧州、韓国と比較した、中国の科学技術力を示す。

1. 国際比較の基礎となるCRDSの俯瞰報告書

 筆者がかつて在籍していた国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)・研究開発戦略センター(CRDS)では、2008年より科学技術・研究開発に関する国際比較を含む調査を実施し、その結果を俯瞰報告書として公表してきている。直近では、2023年3月に「研究開発の俯瞰報告書(2023年)」をとりまとめている。

 

2. 国際比較の手法

 CRDSの俯瞰報告書での国際比較は、各分野で細分化された一つ一つの研究開発領域を比較しているが、分野全体を大くくりで捉えることに主眼を置いたものではないため、主要国や地域の科学技術力のマクロ的な議論はなされていない。
 そこで筆者は、このCRDSの調査結果に分析を加えることにより、マクロ的な各国の科学技術力の評価につながらないかという試みを実施した。詳しくは以下を参照されたい。

 なお、この筆者の試みはJST・CRDSと無関係な形で実施したものであり、JST・CRDSが元々の調査や国際比較を行った趣旨とは別のものになっている可能性がある。したがって、以降の内容の文責は筆者にのみあることを、念のため申し添える。 

3. 国際比較の結果 2023年

 この手法により次の4つの分野別の国際比較を取りまとめた。それによると、2023年時点での調査四分野における日本、米国、欧州、中国、韓国の国際競争力は次の通りである。
○環境・エネルギー分野       欧州~米国>中国~日本>韓国
○システム・情報科学技術分野    米国>欧州~中国~日本>韓国
○ナノテクノロジー・材料分野    米国>欧州>日本~中国>韓国
○ライフサイエンス・臨床医学分野  米国>欧州>日本~中国>韓国
(註)「~」は左の国・地域が右の国・地域と同等であるか若干強いということであり、「>」は左の国・地域が右の国・地域と顕著な差があるということである。

 各分野の比較を含めて最新(2023年)の国際比較全体については、以下を参照されたい。ここには、各国・地域の現状についての考察も併せて記した。

 各分野の詳細は、以下を参照されたい。

4. 過去の国際比較の結果

 JST/CRDSが俯瞰報告書の公表を開始したのが2008年であり、以降2009年、2011年、2013年、2015年、2017年、2019年、2021年と続き、最新の2023年に至っている。

 これラ過去の国際比較の結果を、以下に示す。

5.基本資料

・研究開発の俯瞰報告書(2023-24年)
https://www.jst.go.jp/crds/report/CRDS-FY2022-TOP.html