童第周(Dizhou Tong、1902年~1979年)
童第周は、世界初の魚類クローンを作製して中国のクローン技術の基礎を築き、クローン技術の先駆けを成し遂げた。童第周の貢献もあり、中国では現在でもクローン技術で世界トップレベルを誇っている。
貝時璋(Shizhang Bei、1903年~2009年)
貝時璋は、中国において発生生物学や細胞生物学などの近代的な生物学研究を推進した科学者である。107歳という長寿を全うし、創設時からの中国科学院院士であったことから、親しみを込めて「長寿院士」と呼ばれた。
裴文中(Wenzhong Pei、1904年~1981年)
裴文中は、北京郊外の周口店で、考古学の歴史的発見と言われる北京原人の完全に近い頭蓋骨を発見し、中国の考古学発展の基礎を築いた。
沈其震(Qizhen Shen、1907年~1993年)
沈其震は、中国で医学の基礎を学んだ後、日本の東京大学に留学した。帰国後、共産党軍に身を投じ、日中戦争などで軍の医学的な顧問を務め、新中国建国後は初代の中国医学科学院院長に就任した。
華羅庚(Luogeng Hua、1910年~1985年)
華羅庚は、貧しい家庭環境から高等教育を十分に受けられなかったが、周囲の好意と幸運に恵まれて著名な数学者となり、中国数学界に偉大な功績を残した。彼は、日本に招聘され東大で学術講演中に心臓発作を起こし、東京で死去している。
張文裕(Wenyu Zhang、1910年~1992年)
張文裕(张文裕)は、高エネルギー物理研究所設立の端緒となった加速器建設を周恩来総理に提案し、その建設運営のため同研究所が設立されると初代の所長を務めた。中国の高エネルギー物理学を先導した科学者である。
銭偉長(Weichang Qian、1912年~2010年)
銭偉長は、弾性力学、爆発力学などで理論面での貢献をし、科学技術の発展に多大な足跡を残した。銭学森、銭三強と並んで中国科学界の「三銭」と呼ばれている。
何沢慧(Zehui He、1914年~2011年)
何沢慧(何泽慧)は、ドイツやパリで研究を行った後、夫・銭三強と共に帰国し、高エネルギー物理研究所などので宇宙線研究を行った女性科学者である。
呉文俊(Wenjun Wu、1919年~2017年)
呉文俊(Wu Wenjun、吴文俊、1919年~2017年)は、台数トポロジーの研究で成果を挙げた数学者であり、ウー類(Wu classes)やウーの公式にその名を残している。
黄昆(Kun Huang、1919年~2005年)
黄昆は、固体物理学を基に半導体の理論的な研究の基礎を築いた。半導体は、産業のコメとも言われてIT産業などに不可欠な素材であり、中国でもその研究開発と産業化が熱心に進められている。
呉孟超(Mengchao Wu、1922年~2021年)
呉孟超(吴孟超、Wu Mengchao、1922年~2021年)は、中国の外科医・医学者であり、肝臓・胆管の外科手法などを開発し、「中国肝胆外科の父」と呼ばれている。
金怡濂(Yilian Jin、1929年~)
世界では、日本、米国と並んで中国がスパコン開発の中心国である。金怡濂は、中国の工学者でスパコン「神威・太湖之光」の開発の指揮を執り、同機は計算速度で世界一の座を2年間維持した。
袁隆平(Longping Yuan、1930年~2021年)
袁隆平は、ハイブリッド米を開発した農学者である。桁外れの人口を擁している中国では、国民の食糧を如何にして確保するかは古代より国家の最大の政策目標の一つであった。新中国においても、全国民の食糧確保のための農業振興は、中国共産党にとって統治の正当性を示す重要な事項であった。この農業技術で世界的な業績と言われるのが、袁隆平によるハイブリッド米の開発である。
ウシ・インスリン合成~鈕経義と鄒承魯
はじめに ウシ・インスリン合成プロジェクトは、中国の集団での研究開発成果として有名である。ここでは、プロジェクトの概要を述べるとともに、プロジェクトに係わった代表的な研究者として鈕経義(ちゅうけいぎ、192 […]
ロバート・チャン(銭沢南)
ロバート・チャン(銭沢南 、1949年~)カリフォルニア大学バークレー校教授は、香港生まれの生化学者で、真核生物の転写に関する研究で知られている。2009年から2016年までハワード ヒューズ医学研究所理事長も務めた。
アンドリュー・チーチー・ヤオ(姚期智)
アンドリュー・チーチー・ヤオ(姚期智、1946年~)清華大学教授は、2021年に京都賞を受賞した。米国で博士号を取得し、米国で優れた研究成果を挙げた。近年米国の職と国籍を棄てて中国に戻り、清華大学教授となった。台湾、香港ともつながりがある。
量子科学の潘建偉氏に期待
中国人研究者とノーベル賞について、日本国際貿易促進協会が旬刊誌として発行している「国際貿易」の2023年2月15日号に投稿した記事を、一部修正の上で紹介する。