全国科学技術発展計画要綱(1978年~1985年)

 全国科学技術発展計画要綱(1978年~1985年)は、文革後の1978年に採択された中期計画であり、文革の混乱と中断からの回復を目指した。

全国科学技術発展計画要綱策定の経緯

 1978年3月全国科学大会が北京で開催され、「全国科学技術発展計画要綱:全国科学技术发展规划纲要(1978年~1985年)(草案)」が採択された。
 同年10月、中国共産党中央委員会は正式に「全国科学技術発展計画要綱(1978年~1985年)」を公布した。

 この綱要は1956年に制定された科学技術発展遠景計画綱要(1956年~1967年)に次ぐ中期的科学技術計画であり、文化大革命中の混乱と中断からの脱却を目指して立案された意欲的な計画であった。

全国科学技術発展計画要綱の具体的な内容

(1)基本的な前提

 科学技術は生産力であり、四つの近代化の鍵は科学技術の近代化にある。我が国の運命と前途は、最先端の科学技術で国民経済と国防を強化できるかどうかにかかっており、今世紀内に四つの近代化を実現し偉大な社会主義強国を建設するため、この長期計画を制定する。

(2)国際的な科学技術の状況

 世界における現代の科学技術は、原子力、コンピュータと宇宙技術の発展を主要な標識として、大変革時代となっている。物理学、数学、電子技術、遺伝子工学などの自然科学の基礎理論もこの変革を下支えしている。

(3)中国の科学技術の現状

 建国以来28年が経過し、両弾一星の成功など我が国の科学技術事業は大きな成果をあげたが、文化大革命で破壊された。我が国と世界の先進水準との格差が拡大し、四つの近代化の足を引っ張っている。独立自主、自力更生、学習と独創を堅持し、外国の先進科学技術を真剣に学び、我が国独自の科学技術を発展させる必要がある。

(4)本綱要の目標

 1985年までに次の目標を達成する。

・一部の重要な科学技術分野で、1970年代の世界先進水準に接近・到達させる。
・専門家学者数を現在の36万人から80万人にする。
・近代的な科学技術研究基地を創設する。
・全国の科学技術システムを改革し、新たに構築する。

(5)重点分野

 8つの重点発展領域と108の重点研究項目を定める。8つの重点発展領域とは、農業、エネルギー、材料、コンピュータ、レーザー、宇宙、高エネルギー物理、遺伝子工学であり、この8分野のもとで108の重点研究項目を設定する。

(6)その他の事項

高等教育の充実:大学を新設・拡充し、1980年前に新規募集人員を30万人以上にする。大学院生を増加させ、この綱要の8年間で8万人育成する。

研究所の自立:科学研究への政治的な介入を排除するため、科学技術者の職名・職位責任制を確立し、研修・審査などの制度を改革する。

国民の科学技術への積極的関与:科学普及活動を積極的に展開する。青少年の中で科学学習コンテストを開催する。科学協会と専門学会の活動を積極的に展開する。科学技術の成果の普及応用を強力に組織し、加速する。国家科学奨励制度を構築する。

国際協力の強化:海外の先進技術を研究し消化する。外国の優れた専門家を中国に招へいする。国際科学技術協力と技術交流を強化する。

科学技術環境の整備:科学器具の開発と生産を迅速に発展させる。科学研究物資の供給を確実に保証する。科学技術情報システムを構築し、国内の外科学技術情報交流を強化する。科学技術書の刊行物を大量に出版する。

参考資料

・科学技術部HP 『1978-1985年全国科学技术发展规划纲要(草案)』https://www.most.gov.cn/ztzl/gjzcqgy/zcqgylshg/200508/t20050831_24438.html