はじめに
力学研究所(Institute of Mechanics)は、1956年に北京で中国科学院の附属研究機関として設立された。
マイクロ力学、高温気体力学と大気圏飛行力学、微小重力、海洋・環境・エネルギーなどの分野において、力学、製造プロセス力学、生体力学・生体工学などの研究を行っている。

1. 名称
○中国語表記:力学研究所 略称 力学所
○日本語表記:力学研究所
○英語表記:Institute of Mechanics 略称 IMECH
2. 所在地
力学研究所の所在地は、北京市北四環西路15号である。
3. 沿革
力学研究所は、1956年に北京で中国科学院の附属研究機関として設立された。初代の所長は、中国の宇宙開発の父、ロケットの父と呼ばれる銭学森である。
銭学森は、文化大革命後の1984年まで所長を務め、中国科学技術の最重要課題であった両弾一星政策を理論面で支えた。
4. 組織の概要
(1)研究分野
力学研究所は、マイクロ力学、高温気体力学と大気圏飛行力学、微小重力、海洋・環境・エネルギーなどの分野において、力学、製造プロセス力学、生体力学・生体工学などの研究を行っている。
(2)主な研究組織
力学研究所の主な研究組織は以下のとおりである。
・特殊環境非線形力学全国重点実験室(超常环境非线性力学全国重点实验室)
・高温気体力学国家重点実験室(高温气体动力学国家重点实验室)
・中国科学院微小重力重点実験室(中国科学院微重力重点实验室)
・中国科学院流体構造連成システム力学重点実験室(中国科学院流固耦合系统力学重点实验室)
・広域飛行工学科学応用センター(宽域飞行工程科学与应用中心)
5. 研究所の規模
(1)職員数
2021年現在の職員総数は458名で、中国科学院の中で30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)予算
2021年予算額は8億7,198万元で、中国科学院の中で第30位である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)研究生
2021年現在の在所研究生総数は420名で、中国科学院の中で30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
6. 研究開発力
(1)国家級実験室など
2つの国家重点実験室を有している(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
・特殊環境非線形力学全国重点実験室(超常环境非线性力学全国重点实验室):1999年に設置された非線形力学国家重点実験室を前身とし、2025年に再編された。固体の強度と損傷、異常環境における流体・固体結合、乱流と複雑流れを研究している。
・高温気体力学国家重点実験室(高温气体动力学国家重点实验室):2015年に設置された。高温・極超音速の極限条件下での分子振動や回転励起、分子解離、イオン化などの内部状態変化を伴う媒体の複雑な流れを研究している。
(2)NSFC面上項目獲得額
NSFC一般プログラム(面上項目、general program)の獲得資金額は、中国科学院の中では20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
7. 研究成果
(1)Nature Index
Nature Index2022では、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)特許出願数
2021年の特許出願数は206件で、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)成果の移転収入
2021年研究成果移転収入は、中国科学院内の9位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(4)両院院士数
2025年4月時点で所属する両院の院士は5名であり、中国科学院全体のランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
〇中国科学院院士(5名):俞鸿儒、胡文瑞、李家春、王自强、何国威
参考資料
・力学研究所 HP http://www.imech.ac.cn/
・中国科学院HP https://www.cas.cn/
・中国科学院統計年鑑2022 中国科学院発展企画局編