「国家経済貿易委員会が管理する10の国家局所属の科学研究機関の管理体制の改革に関する意見」(1999年)

 国家局所属の研究機関の管理体制の改革に対する意見は、1999年に公表された。この意見は、10の国家局に属する242の科学研究機関について、民間企業に転換することにより、科学研究機関を改革しようとするものである。

 1999年4月、国務院の科学技術部、国家経済貿易委員会などは「国家経済貿易委員会が管理する10の国家局所属の科学研究機関の管理体制の改革に関する意見:关于国家经贸委管理的10个国家局所属科研机构管理体制改革的实施意见」を公表した。この意見は、国家経済貿易委員会が管理する内務貿易局、石炭局、機械局、冶金局、石油化学局、軽工局、紡績局、建材局、たばこ局、非鉄金属局の10の国家局所属の242の科学研究機関について、各局の全部または一部を科学技術型企業や技術サービス・仲介企業に転換することにより、研究開発の経済市場への役割を強化し科学研究機関の自己開発力を高めようとするものである。

 このような意見が出された背景は、新中国建国後に導入された計画経済によって、公的研究機関に「親方日の丸」的な(鉄飯椀)体質が生まれ、研究開発の実施において非効率となっていた状況がある。このような状況は改革開放後も変わることはなく、公的な研究機関の評価は国内では低かった。そのため、応用型の研究機関を科学技術型企業や技術サービス・仲介企業に転換する変革が進められたものである。この意見の対象となっているのは国家経済貿易委員会所管の10の国家機関に所属していた242の科学技術研究機関であるが、これはモデル事業であり、その後も同様に他の国家機関に属する科学技術研究機関の企業化が進められた。

 この意見に盛り込まれている内容は、概略以下の通りである。
・242の機関は、その全部または一部を科学技術型企業、技術サービス・仲介企業へ転換する。
・転換後の科学技術型企業は、社会主義市場経済のメカニズムに従い、経営自主権を有する。
・技術認証、検査、学位授与権などを国家から授権されていた科学研究機関は、企業への転換後も引き続き任務を引き受け、国家財政より必要な経費の支援を受ける。すでに承認された研究課題とプロジェクトは、引き続き予定通り実施できる。
・科学研究機関が民間に転換したことにより、職員の退職金や年金の支払いに不利とならないような措置が取られる。また転換後5年間は、企業所得税、技術譲渡収入の営業税、都市土地使用税などを免除される。
・国務院の科学技術部、国家経済貿易委員会は、改革に関する政策の執行状況を監督する。

参考資料

・科学技術部HP 『关于国家经贸委管理的10个国家局所属科研机构管理体制改革的实施意见