全国科学大会(1978年)での鄧小平の演説

 全国科学大会は、文革後の科学技術再構築に向けた会合であり、鄧小平はそこで四つの近代化の実施などの演説を行った。

全国科学大会の開催

 鄧小平は1977年7月に3回目の復活を遂げた後、自ら進んで科学技術と教育を担当し、全国科学大会の開催を指示した。翌1978年3月18日から3月31日まで、全国から約7,300名の科学技術関係者が参加して北京で全国科学大会が開催された。

全国科学大会の開催
全国科学大会 百度HPより引用

鄧小平演説の概要

 全国科学大会の開催に当たり、鄧小平が演説した。その概要は次の通り。

 農業、工業、国防、科学技術の近代化を実現し、我が国を近代的強国とすることは、我が国人民の歴史的使命である。しかし文化大革命の期間中、四人組を中心とした人々は、「四つの近代化が実現する日は資本主義が復活する時だ」と叫び、我が国の国民経済を崩壊の瀬戸際に立たせた。科学技術の水準を向上させず生産力を発達させないと、外国の侵略に対処し共産主義の理想に向かって前進することができない。

 四つの近代化の根本は、科学技術の近代化である。近代的な科学技術がなければ、農業、工業、国防を近代的に建設することができない。科学技術の高度な発展なくしては、国民経済の高度成長はありえない。現在世界では、科学技術分野で急激な変化が発生し、新たな科学技術が生まれ続けている。例えば高分子合成工業、原子力工業、電子計算機工業、半導体工業、宇宙航空工業、レーザー工業などは、いずれも新興科学の基礎の上に築かれている。また、現代の科学技術の発展は生産力との関係を密接にし、科学技術は生産力として大きな役割を果たしている。特に、コンピューター、制御システム、自動化技術の発展によって、生産性が大幅に向上している。

 科学技術の近代化には、多くの革命的で専門的な科学技術者が必要である。文革の期間中に四人組は「知識が多ければ多いほど反動的になる」として、「知識のない労働者」を重要視し、祖国の科学技術事業に貢献した同志を迫害した。四人組が粉砕された後、科学技術者の大多数は革命的な情熱を強く持ち、四つの近代化を実現するために奮起して仕事をしている。このような革命的な知識人は,我が党の頼るべき力である。
 科学技術人材の育成は、教育が基礎である。優れた人材を発見し、選抜し、育成しなければならない。我々は四人組の害毒を徹底的に一掃し、世界一流の科学技術専門家を早急に育成し、科学技術や教育を重要な任務とさせなければならない。広範な大衆の基礎の上で、才能が絶えず優れた人材を輩出することができる。大量の優秀な人材があってこそ、中華民族の科学文化レベルの向上に繋がる。

 共産党中央は、党委員会の指導下の所長責任制を実行すると規定した。科学技術の業務指導は所長と副所長に分担させ、学術論文の評価、科学技術者の業務水準の審査、研究計画の作成、研究成果の鑑定などをまかせるべきである。党委員会の指導は政治上の指導であり、党の路線、方針、政策の徹底を保証することにある。科学者の使命は、科学技術の業務と四つの近代化との関係を理解し、科学に対する障害を突破し、科学の高峰に登るよう努力することである。

 会場にいた科学者らは、この演説を聴いて絶大な拍手を送り、文化大革命時の苦難を想起して涙を流し、すすり泣く人までいたという。

参考資料

・捜狐新聞HP 「邓小平在全国科学大会开幕式上的讲话」