科学技術進歩法の改正(2007年)

 科学技術進歩法の改正は、中国経済の飛躍的発展とそれに伴う科学技術の進展を受けて、2007年に行われた。

科学技術進歩法の改正経緯

 1993年に制定された科学技術進歩法は、その後の経済成長を踏まえた修正が必要となった。
 2007年3月に改正案が公表され、パブリックコメントに付された。所要の修正を加えられた後、2007年12月に全国人民代表大会常務委員会において科学技術進歩法の改正案が可決され成立した。

 旧法では、科学技術振興にかかわる精神規定的なものが多かったのに対して、改正法はハイテク産業への投資拡大、企業の研究開発や技術導入の奨励とそれに伴う税制優遇措置等について細かく規定しており、ほとんど新法の成立に近い大改定であった。

具体的な改正点

 以下に新法で大きく変更された点を述べる。

国の研究開発投資の大幅拡充

 改正法の第59条に「国の予算の科学技術経費の伸び率は、国全体の経常的な収入の増加率より高くしなければならない。中国全体の研究開発費のGDPに対する比率は、逐次増加させなければならない」と規定されている。

 この条項は、その後の中国全体の科学技術予算を長期的に増やす法的根拠となった。

企業の科学技術活動に対する奨励

 改革開放開始以来、中国の経済主体は企業が中心となっており、これら企業が国際競争力を高めるためには、科学技術活動を強化することが必須と考えられた。

 今回の改訂では、税制上の優遇(第17条、第36条)、金融支援(第18条)、政府調達(第25条)、企業のイノベーション活動奨励(第33条、第34条)などが規定された。
 これらの条項を受けて企業のイノベーション・インセンティブが一気に高められ、国内でハイレベルな研究開発の成果を生み出す企業、組織が続々と育つこととなった。

中国版バイドール法

 今回、知的財産権を生み出した研究者に対する権利保護を、米国などの先進国並みとする改訂が盛り込まれた。

 具体的には、第20条で「政府資金で行った科学技術プロジェクトによって得られた専利権(日本でいう特許権、意匠権および実用新案権)、コンピューター・ソフトウェアの著作権、集積回路の設計図所有権、植物新品種権(種苗法の育成者権)は、国家の安全、国家利益または重大な社会の公共利益に影響するものでない限り、科学技術プロジェクト実施者が法律に基づき取得する」とされた。

科学技術インフラ整備

 米国など他の先進国と比較して中国では、科学技術インフラの整備が後れていた。

 今回の改訂で第64条や第65条により、大型の科学機器や設備、科学技術研究基地、研究装置や研究設備、科学技術文献・科学技術データ・自然資源等の科学技術に関する情報システムなどを国が責任を持って整備すると規定された。

科学技術進歩法の改正の影響

 今回の改正により、国や企業の科学技術予算を長期的に増やす法的根拠を示し、組織および個人の知的財産権の帰属を明確し、ハイレベルの研究開発の成果を生み出す企業、組織、個人を徹底的に奨励する政府の意図を明確にした。

 これにより、中国の爆発的な経済発展と歩調を合わせ、科学技術イノベーションも大幅に強化拡大していくこととなった。

参考資料

・中国国務院HP 『中华人民共和国科学技术进步法(2007年修订)
・SPCのHP 『中国科学技術進歩法の改正の概要について