はじめに

 遺伝・発生生物学研究所(遗传与发育生物学研究所、Institute of Genetics and Developmental Biology)は、2001年に旧遺伝研究所と旧発生生物学研究所が合併して、北京に設立された。

 中国の食糧安全保障、国民の健康、生命科学と農業生態学などを念頭に、ゲノム生物学、分子農業生物学、発生生物学、分子システム生物学、農業資源などを研究している。 

遺伝・発生生物学研究所の写真
遺伝・発生生物学研究所 同研究所HPより引用

1. 名称

○中国語表記:遗传与发育生物学研究所  略称 遗传发育所
○日本語表記:遺伝・発生生物学研究所
○英語表記:Institute of Genetics and Developmental Biology  略称 IGDB

2. 所在地

 遺伝・発生生物学研究所の所在地は、北京市朝陽区北辰西路1号院2号である。

3. 沿革

 遺伝・発生生物学研究所は、2001年に旧遺伝研究所と旧発生生物学研究所が合併して設立された。

 旧遺伝研究所(遗传研究所)の前身は、1951年に北京設置された中国科学院の遺伝子選択実験館(遗传选种实验馆)である。1952年に中国科学院植物研究所の遺伝栽培研究室(遗传栽培研究室)となり、1959年に植物研究所から独立して中国科学院遺伝研究所となった。

 旧発生生物学研究所(发育生物学研究所)は、著名な生物学者で中国科学院副院長でもあった童第周の主導で、北京に設置された。

4. 組織の概要

(1)研究分野

 遺伝・発生生物学研究所は、中国の食糧安全保障、国民の健康、生命科学と農業生態学などを念頭に、ゲノム生物学、分子農業生物学、発生生物学、分子システム生物学、農業資源などを研究している。 

(2)主な研究組織

 遺伝・発生生物学研究所の主な研究組織は以下のとおりである。

・植物ゲノム科学国家重点実験室(植物基因组学国家重点实验室)
・植物細胞・染色体工学国家重点実験室(植物细胞与染色体工程国家重点实验室)
・分子発生生物学国家重点実験室(分子发育生物学国家重点实验室)
・中国科学院農業水資源重点実験室(中国科学院农业水资源重点实验室)

5. 規模

(1)職員数

 遺伝・発生生物学研究所の2021年現在の職員総数は532名で、中国科学院の中では30位までのランキング外(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

(2)予算

 遺伝・発生生物学研究所の2021年予算額は6億6,159万元で、中国科学院の中では30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

(3)研究生

 遺伝・発生生物学研究所の2021年現在の在所研究生総数は678名で、中国科学院の中では第25位である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

6. 研究開発力

(1)国家級実験室など

 遺伝・発生生物学研究所は3つの国家重点実験室を有している(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

植物ゲノム科学国家重点実験室(植物基因组学国家重点实验室):2003年に研究が開始された。イネ、シロイヌナズナ、大豆、菜種、綿花などの作物や、植物病原微生物を材料として、遺伝子クローニングと同定、機能分析、機能ゲノミクスなどの研究を行っている。

植物細胞・染色体工学国家重点実験室(植物细胞与染色体工程国家重点实验室):1995年に研究が開始された。主要農作物の遺伝学的特性を分析し、農作物遺伝学と分子育種の関係を研究する。

分子発生生物学国家重点実験室(分子发育生物学国家重点实验室):1994年に研究が開始された。分子生物学、細胞生物学、分子遺伝学、ゲノミクスを用いて、個体の発達や発生に関連する分子メカニズムを研究している。

(2)NSFC面上項目獲得額

 NSFC一般プログラム(面上項目、general program)の獲得資金額は、中国科学院の中では20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

7. 研究成果

(1)Nature Index

 Nature Index2022では、中国科学院内で20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

(2)特許出願数

 2021年の特許出願数は44件で、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

(3)成果の移転収入

 2021年研究成果移転収入は、中国科学院内の9位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

(4)両院院士数

 2024年2月時点で所属する両院の院士は4名(他に外籍院士1名)であり、中国科学院内でランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

〇中国科学院院士(4名):李振声、李家洋、曹晓风、杨维才、John Speakman(外籍院士)

参考資料

・遺伝・発生生物学研究所HP http://www.genetics.cas.cn/
・中国科学院HP https://www.cas.cn/
・中国科学院統計年鑑2022 中国科学院発展企画局編