「次世代人工知能発展計画」(2017年)

 次世代人工知能発展計画は、破壊的なイノベーション技術として注目されるAI技術の戦略に関して、国務院が2017年に公表したものである。

次世代人工知能発展計画の策定経緯

 元々人工知能(AI:Artificial Intelligence)に係わる技術の開発は、「国家科学技術創新第13次五か年計画(2016〜2020年)」の中の「産業技術の国際競争力の向上」で、破壊的イノベーション技術という項目に分類され注目されていた。

 その後、世界で人工知能技術にかかわる開発が急速に進み、国民経済および社会への大きな波及効果が認識されるようになった。そのため、中国共産党中央委員会は先駆けて人工知能技術を推進しなければならないと指示した。

 この共産党中央の指示を受けて、2017年7月、科学技術部、国家発展改革委員会および中国工程院などが共同で「次世代人工知能発展計画:新一代人工智能发展规划」を公表し、単なる5か年計画の一領域から国家戦略に昇格させたものである。

計画の段階的な目標

 同計画では、3つの段階における目標が示されている。

○第一段階(~2020年)
人工知能の全体的な技術水準と応用能力が世界トップレベルの国々と併走する
人工知能関連産業が経済成長の新しいエンジンとなる
人工知能技術が国民生活水準を改善する新しい手段の一つになる

○第二段階(~2025年)
人工知能の基礎理論におけるブレークスルーを実現する
一部の人工知能技術および応用能力は世界をリードする 
人工知能技術は産業構造転換および経済発展方式転換の原動力となる
スマート社会に向けて新しい進展を実現する

○第三段階(~2030年)
人工知能の基礎理論、技術および応用能力が世界をリードし、人工知能技術に基づいたイノベーションのハブの1つになる。

 同計画では、これらの目標に加え次世代人工知能技術の推進にあたって、「オープン的・共通的な人工知能科学技術体系の構築」、「スマート経済の創出」、「安全で快適な社会の実現」、「デュアルユースの推進」、「安全で高効率なスマートインフラの完備」、「次世代人工知能に関連する技術プロジェクトの実施」などを柱として、重点的に取り組もうとしている。

参考資料

・中央人民政府HP 『国务院关于印发新一代人工智能发展规划的通知