はじめに

 福建物質構造研究所(福建物质结构研究所、Fujian Institute of Research on the Structure of Matter)は、1960年に福建省福州市に設置された。

 新材料、新エネルギー、先進製造などの開発に貢献することを目指し、構造化学、触媒化学、結晶材料、レーザー技術などを研究している。 

福建物質構造研究所の写真
福建物質構造研究所 同研究所HPより引用

1. 名称

○中国語表記:福建物质结构研究所  略称 福建物构所
○日本語表記:福建物質構造研究所
○英語表記:Fujian Institute of Research on the Structure of Matter  略称 FJIRSM
 中国では、海西研究院という名称も使われることがある。

2. 所在地

 福建物質構造研究所の所在地は、福建省福州市鼓楼区楊橋西路155号である。

3. 沿革

 福建物質構造研究所は、1960年に福建省福州市に設置された。当初はいくつかの研究室が並立していたが、翌1961年に理化研究所となり、さらに1962年に華東物質構造研究所(华东物质结构研究所)となった。

 文化大革命中の1973年に、現在の福建物質構造研究所(福建物质结构研究所)となって、現在に至っている。

4. 組織の概要

(1)研究分野

 福建物質構造研究所は、新材料、新エネルギー、先進製造などの開発に貢献することを目指し、構造化学、触媒化学、結晶材料、レーザー技術などを研究している。

(2)主な研究組織

 福建物質構造研究所の主な研究組織は以下のとおりである。

・構造化学国家重点実験室(结构化学国家重点实验室)
・国家光電子結晶材料工学技術研究センター(国家光电子晶体材料工程技术研究中心)
・ナノ触媒材料・技術国家地方連合工学研究所(纳米催化材料与技术国家地方联合工程实验室)
・電機駆動・パワーエレクトロニクス国家地方連合工学研究センター(电机驱动与功率电子国家地方联合工程研究中心)
・中国科学院光電子材料化学・物理重点実験室(中国科学院光电材料化学与物理重点实验室)
・中国科学院石炭エチレングリコール製造技術重点実験室(中国科学院煤制乙二醇及相关技术重点实验室)
・中国科学院機能性ナノ構造設計・製造重点実験室(中国科学院功能纳米结构设计与组装重点实验室)

5. 規模

(1)職員数

 福建物質構造研究所の2021年現在の職員総数は805名で、中国科学院の中では第24位に位置する(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

(2)予算

 福建物質構造研究所の2021年予算額は6億0,755万元で、中国科学院の中では30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

(3)研究生

 福建物質構造研究所の2021年現在の在所研究生総数は507名で、中国科学院の中では30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

6. 研究開発力

(1)国家級実験室など

 福建物質構造研究所は1つの国家重点実験室を有している(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

構造化学国家重点実験室(结构化学国家重点实验室):1994年に研究が開始された。無機化学、材料化学、物理化学といった最先端分野における金属原子クラスター、構造敏感性材料、ナノ材料などの構造・機能を研究している。

(2)NSFC面上項目獲得額

 NSFC一般プログラム(面上項目、general program)の獲得資金額は1,534万元(24件)であり、中国科学院の中では第16位である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

7. 研究成果

(1)Nature Index

 Nature Index2022では、福建物質構造研究所は中国科学院内で第4位であり、論文数で91.83となっている(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

(2)特許出願数

 2021年の特許出願数は186件で、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

(3)成果の移転収入

 2021年研究成果移転収入は、中国科学院内の9位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

(4)両院院士数

 2024年2月時点で所属する両院の院士は2名であり、中国科学院内のランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。

〇中国科学院院士(2名):吴新涛、洪茂椿

参考資料

・福建物質構造研究所 http://www.fjirsm.cas.cn/
・中国科学院HP https://www.cas.cn/
・中国科学院統計年鑑2022 中国科学院発展企画局編