はじめに
ティンイェ・リー(Tingye Li、歴鼎毅、厉鼎毅、厲鼎毅、1931年~2012年)は、レーザー研究により光通信技術などの確立に貢献し、2009年にIEEEのエジソン・メダルを受賞した。

生い立ちと教育
ティンイェ・リー(Tingye Li、歴鼎毅、厉鼎毅、厲鼎毅)は、1931年に江蘇省南京に生まれた。
リーの生家は名門であり、父・歴斯昭は中華民国の外交官で、数か国の大使を務めた人物であった。母・謝緯鵬は、蒋介石夫人の宋美齢の下で男女同権運動の活動を行った。リーは長男として生まれた。
リーが12歳となった1943年に、当時父の任地であったカナダに一家で移り、そこで中等教育を受けた。
リーの父親が、南アフリカのヨハネスブルグ総領事となったため、一家は南アフリカに移住した。リーも同行し、ヨハネスブルグにあるウィットウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand)の電気工学科に入学した。
リーは1953年に、ウィットウォーターズランド大学を卒業して学士学位を取得し、米国に留学した。米国では、中西部シカゴにあるノースウェスタン大学に入学し、1955年に修士学位を、1958年にPhDを同校で取得した。
ベル研究所へ
ティンイェ・リーは1957年に、ベル研究所の研究員となった。
ベル研究所とは、ベル・システム社が1920年代に設立した研究所であり、 ニュージャージー州マレーヒルを本拠地とし、その研究施設は世界中に点在する。ベル研究所は、電話交換機から電話線のカバー、トランジスタまであらゆるものの開発を行ってきた。中国系科学者では、分数量子ホール効果の研究によりノーベル物理学賞を受賞したダニエル・ツィが、1967年から1983年までこのベル研究所に在籍していた。
レーザー研究に取り組む
ティンイェ・リーが、ベル研で取り組んだのがレーザーの研究である。
リーらは、医療から宇宙利用までさまざまな分野に変革をもたらすと想定されたレーザー(laser:Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation:誘導放出による光増幅放射)が、どのように集中光エネルギーを生成するかをコンピューター・シミュレーションで調べ、 1961 年にその研究結果を論文として発表した。
この論文は、レーザーを実用的な通信手段に変える大きなきっかけとなった。
リーはその後も、光波技術や光通信技術の研究を行い、これら技術の実用化に貢献した。
エジソンメダルを受賞
ティンイェ・リーは1980年に、米国工学アカデミーの会員となった。
リーは1984年に、台湾の中央研究院の院士となった。
リーは1996年に、中国科学院の外籍院士となった。
リーは2009年に、IEEEのエジソンメダルを受賞した。
エジソンメダル (Edison Medal) は、電気電子工学において優れた業績を認められる者に贈られる賞でトーマス・エジソンの名にちなみ、電気電子工学においてノーベル賞に比類する名誉とされる賞である。日本人では、2011年に赤崎勇・名古屋大学名誉教授が受賞している。
リーは2012年に、米国ユタ州で心臓発作のため亡くなった。享年81歳であった。
参考資料
・中央研究院HP 厲鼎毅 Tingye Li
https://academicians.sinica.edu.tw/index.php?r=academician-n%2Fshow&id=198
・中華光電協会HP Obituary of Dr. Tingye Li
http://psc-atlantic.org/Obituary_of_Dr_Tingye_Li.html
・The New York Times Tingye Li Dies at 81; Played Crucial Role in Laser’s Development
https://web.archive.org/web/20130122211511/http://cn.nytimes.com/article/science-technology/2013/01/09/c09li-obit/en/