中国の主要な政治行政体制を示したのが、次図である。
中国は中国共産党による一党支配の国家であり、憲法に「中国共産党が国家を領導する」と明記されており、中国共産党が国家を指導している。
図の右上にある全国人民代表大会(略称「全人代」)は、中国の立法府と位置づけられる組織であり、国家の最高権力機関として行政権・司法権・検察権を監督し、国家主席・副主席や、国務院(最高行政機関)、国家中央軍事委員会(最高軍事指導機関)、最高人民法院(最高司法機関)、最高人民検察院(最高検察機関)の主要メンバーを選出する。全人代は、省、自治区、直轄市、特別行政区、軍隊が選出する代表によって構成される。定員は3,000名を超えないと憲法に規定されており、議席の約70%が中国共産党党員で占められる。全人代は毎年3月に開催されるのが、現在の慣例となっている。
図の右中央にある国務院は、中国の国家行政機関(政府)である。ただ日本や米国など西側諸国の政府と大きく異なり、中国共産党が国家を領導するとの憲法の規定があることや、主要幹部の実質的な人事権が中国共産党にあることなどのため、中国共産党が主体となって決定された政策を具体的に実施する行政執行機関である。とは言え国務院の各部局は行政の最前面にいるため、政策立案のための知見や経験を多く有しており、科学技術を含めた個々の政策立案に際して中国共産党と情報提供などで協力し、必要に応じて共同で政策立案に当たっている。
図の中央にある人民解放軍は、中国の軍隊である。中華人民共和国建国の歴史的な経緯から、人民解放軍は国家の軍隊というよりは中国共産党の軍隊という色彩を有する。人民解放軍を指導する機関である(中国共産党)中央軍事委員会は、中国共産党の下部機関として設置され、人事権も当然中国共産党が有している。 国の軍隊としての形式を整えるため、全人代も(国家)中央軍事委員会を下部に設置しているが、(中国共産党)中央軍事委員会委員と同一の人物が委員に選任される。従って、両方を総称して中央軍事委員会と呼ばれている。人民解放軍及び中央軍事委員会は、中国の政策立案においても重要な役割を果たしている。