近年の中国の研究開発費の状況を述べる。研究開発費総額は、世界一の米国の約8割、第3位の日本の約2.7倍に達している。
1. 研究開発費全体と対GDP比
下図は、中国における研究開発費全体と対GDP比の推移を示したものである。今世紀に入っての経済発展を受け、中国の研究開発費は一貫して右肩上がりである。
これを、世界の主要国の研究開発費の推移と比較したのが下図である。OECD購買力平価を用いている。中国は世界一の米国に次いで第2位であり、米国の約8割に達している。世界第3位の日本の約3倍に達している。
対GDP比で見ると、中国は、韓国、日本、米国、ドイツ、英国より少なく、フランス、ロシア、インドなどよりは多い。したがって、中国は経済規模に比較して、まだ研究開発費を増加させる伸びしろがあると考えられる。
2. 研究開発費の負担組織
研究開発費をどの組織が負担しているかを、各国別の組織での割合で示したのが下図である。中国では政府負担が少し多いが、他の主要国とそれほど変わらない。
3. 研究開発費の使用組織
次に中国で、どの組織がこの研究開発費を使用しているかを示したのが、下図である。
組織別の研究開発費使用割合の各国別比較を示したのが、下図である。これを見ると、中国は、政府が15.7%、大学等が7.7%、産業が76.6%となっている。他の主要国との比較で見ると、政府機関がやや多く、大学等が少なく、産業が多い。中国には中国科学院という強力な研究開発組織があり、これが影響していると考えられる。
下図は、上記の研究開発費の負担組織と使用組織についての内容を、とりまとめたものである。
4. 中国の地方の研究開発費
下図は、中国の研究開発費における中央と地方の研究開発費支出比率の推移である。地方の研究開発費支出が年々増加していることが判る。
そして下図は、中国の各省、直轄市毎の研究開発費支出である。広東省、江蘇省、北京市、浙江省、上海市の順となっている。広東省は広州市、深圳市などを擁する経済規模の大きな省であり、江蘇省も蘇州市、南京市などを擁する経済的に大きな省である。