はじめに

 メン・スー(1984年~)は、ハーバード大学の大学院生の時に同僚らと共に「フェルミ・バブル」を発見し、高エネルギー天文学のブルーノ・ロッシ賞を受賞した。その後、中国に帰国し、宇宙ベンチャー「オリジン・スペース」社を立ち上げている。

メン・スーの写真
メン・スー 百度HPより引用

生い立ち、教育、留学

 メン・スー(Meng Su、蘇萌、苏萌)は、漢民族で1984年生まれであるが、出生地は公開されていない。

 スーは、2007年に北京大学物理学科を卒業し、米国に渡ってハーバード大学に留学した。

 ハーバード大学では、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA:Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)のMartin Elvis教授の指導で、「小惑星からの資源採掘」のテーマにより博士号取得を目指した。

フェルミ・バブルの発見

 メン・スーは、ハーバード大学の博士課程在学中の2010年に、NASAのガンマ線天文衛星「フェルミ」による観測で、天の川銀河の中心から上下におよそ5万光年にわたって広がる巨大な泡構造を発見し、これを「フェルミ・バブル」と名付けた。このフェルミ・バブルは、かつて天の川銀河中心部で起こった何らかの爆発的現象に由来するように見えるが、発生源はわかっていない。

 スーは2012年にハーバード大学から博士号を取得し、MITのカブリ天体物理学・宇宙研究所に移って研究を継続した。

 スーは2014年に、ハーバード大学の大学院時代の研究仲間であるダグラス・フィンクバイナー、トレイシー・スラティアらと共に、高エネルギー天文学の国際賞であるブルーノ・ロッシ賞を受賞した。受賞理由は「フェルミ・バブル」の発見であった。
 ブルーノ・ロッシ賞(Bruno Rossi Prize)は、米国天文学会(AAS)によって、高エネルギー天体物理学の分野の業績に対し、個人や団体に毎年授与される賞である。賞名の由来であるブルーノ・ ベネデット・ロッシ(Bruno Benedetto Rossi, 1905年~1993年)は、イタリア生まれでMIT教授などを歴任した宇宙物理学者であり、X線天文学などのパイオニアである。

帰国し香港大学へ

 メン・スーは2016年に中国に帰国し、香港大学の副教授となった。

 スーは、中国に帰国する前から中国の宇宙開発プロジェクトに関与しており、例えば、2015年に打ち上げられた、ダーク・マター探査衛星「悟空」の開発にも2011年から参画している。

宇宙ベンチャー「オリジン・スペース」立ち上げ

 メン・スーは2019年に、宇宙ベンチャーである「オリジン・スペース(起源太空)」社を立ち上げた。同社はスーがハーバード大学に在学中に研究した「小惑星からの資源採掘」を旗印としており、小惑星の探査・調査を踏まえて小惑星にある宇宙鉱物資源の開発と活用を目指すとともに、将来人類が宇宙活動をするために必要な水資源などを提供しようとするものである。

 オリジン・スペース社は、現在江蘇省の南京に本拠地を置き、北京、上海、香港に研究開発拠点を有している。

 実際の宇宙活動も活発に行っており、2021年には自社開発の光学・紫外天文衛星である「仰望1号」と宇宙探査ロボット「NEO-01」を打ち上げて、様々な実験を進めている。 

蘇萌が興したオリジンスペース社
オリジンスペース社 百度HPより引用

参考資料

・香港大学HP https://www.lsr.hku.hk/member/meng-su/
・AAS HP HEAD AAS Rossi Prize Winners https://head.aas.org/rossi/rossi.recip.html#AD
・科学网HP 我有一个太空采矿梦 https://news.sciencenet.cn/sbhtmlnews/2021/6/363287.shtm
・起源太空 Origin Space HP https://www.origin.space/