参考1 国際比較の対象分野の変更

 CRDSの調査においては、国際比較の対象分野が、徐々に変更が加えられてきている。
・2008年調査:電子情報通信分野、ナノテクノロジー分野、先端計測技術分野、ライフサイエンス分野、環境技術分野
・2009年調査:電子情報通信分野、ナノテクノロジー・材料分野、ライフサイエンス分野、臨床医学分野、環境技術分野、先端計測技術分野
・2011年調査:環境・エネルギー分野、電子情報通信分野、ナノテクノロジー・材料分野、ライフサイエンス分野、臨床医学分野
・2013年調査:環境・エネルギー分野、ライフサイエンス・臨床医学分野、電子情報通信分野、ナノテクノロジー・材料分野、システム科学技術分野
・2015年調査:環境・エネルギー分野、ライフサイエンス・臨床医学分野、ナノテクノロジー・材料分野、情報科学技術分野、システム科学技術分野
・2017年調査:エネルギー分野、環境分野、システム・情報科学技術分野、ナノテクノロジー・材料分野、ライフサイエンス・臨床医学分野
・2019年調査:環境・エネルギー分野、システム・情報科学技術分野、ナノテクノロジー・材料分野、ライフサイエンス・臨床医学分野
・2021年調査:環境・エネルギー分野、システム・情報科学技術分野、ナノテクノロジー・材料分野、ライフサイエンス・臨床医学分野
・2023年調査:環境・エネルギー分野、システム・情報科学技術分野、ナノテクノロジー・材料分野、ライフサイエンス・臨床医学分野

 これらを比較すると、次のことが判った。
・環境・エネルギー分野については、最初の2回(2008年調査と2009年調査)は環境技術分野として調査が実施されたが、内容的にはエネルギー分野を含んでいた。3回目以降は、エネルギーを分野名に明示的に出して調査が実施された。2017年調査では、エネルギーと環境に分割されたが、2019年以降の調査では再び二つの分野が統合された。
・電子情報通信分野は、2013年調査までの過去4回継続的に調査が実施されてきたが、2015年調査で情報科学技術分野となり、さらに前回の調査からシステム・情報科学技術分野となった。しかし、カバーする研究開発領域は本質的に変化しておらず、単なる名称変更と考えられ、調査の継続性は維持されている。
・ナノテクノロジー・材料分野は、2008年の第1回の調査ではナノテクノロジー分野として調査されたが、内容的に材料分野を含んでいた。2回目以降は材料を分野名に明示的に出して調査が実施されている。
・ライフサイエンス分野は、過去3回継続的に調査が実施されたが、2013年の調査では臨床医学分野を統合の上、ライフサイエンス・臨床医学分野として実施された。2015年以降の調査ではこの考え方が引き継がれている。臨床医学分野は2008年調査では実施されておらず、2009年と2011年調査で実施された。

 以上を踏まえ、分野の変更と経年変化の考え方は次の通りとした。
・2017年調査では、環境に特化した研究開発領域が独立して環境分野となっている。2019年と2021年では、環境・エネルギーと再び統合された。 そこで、経年変化を見るため、2017年についてエネルギー分野と環境分野のデータを足し合わせることとした。
・2017年以降におけるシステム・情報科学技術分野の内容を確認したところ、システム分野に特化した研究開発領域が新たに加わったわけではなく、2015年調査までの情報科学技術分野の各領域でシステム分野的な内容を考慮したことにより分野名に「システム」を加えたと判明したため、このままで継続性が保たれていると判断した。
・ナノテクノロジー・材料分野は、2008年調査では分野名に「材料」が明示されていなかったが、その後と同様の内容を調査しており、継続的に調査されている。
・ライフサイエンス分野は過去継続的に調査が実施され、また臨床医学分野は2008年の調査が行われていないが、その後の2回(2009年と2011年)には調査が実施された。2013年からは、両分野が統合の上一つの分野として国際比較が実施されており、過去のライフサイエンス分野と臨床医学分野のデータを統合して、ライフサイエンス・臨床医学分野として時間的変化を考察している。2008年調査では臨床医学分野のデータがないので、ライフサイエンス・臨床医学分野の経年変化の考察は、2008年を外した。