はじめに
分子細胞科学卓越イノベーションセンター(分子细胞科学卓越创新中心、Center for Excellence in Molecular Cell Science)は、2000年に旧上海生物化学研究所と旧上海細胞生物学研究所が統合して設置された。
遺伝子調節、RNAおよびエピジェネティクス、タンパク質科学、細胞シグナル伝達、細胞および幹細胞生物学、がんやその他の主要な疾患のメカニズムなどの研究を行っている。

1. 名称
○中国語表記:分子细胞科学卓越创新中心 略称 分子细胞卓越中心
○日本語表記:分子細胞科学卓越イノベーションセンター
○英語表記:Center for Excellence in Molecular Cell Science 略称 CEMCS
別途 生物化学・細胞学研究所(生物化学与细胞生物学研究所)と呼ばれることもある。
2. 所在地
分子細胞科学卓越イノベーションセンターの所在地は、上海市徐匯区岳陽路320号である。
3. 沿革
分子細胞科学卓越イノベーションセンター(分子细胞科学卓越创新中心、Institute of Mechanics)の前身は、1950年に設置された中国科学院実験生物研究所の発生生理研究室が前身である。1978年に上海細胞生物学研究所に改称。2000年に中国科学院上海生物化学研究所と上海細胞生物学研究所が統合して現在に至っている。
4. 組織の概要
(1)研究分野
分子細胞科学卓越イノベーションセンターは、遺伝子調節、RNAおよびエピジェネティクス、タンパク質科学、細胞シグナル伝達、細胞および幹細胞生物学、がんやその他の主要な疾患のメカニズムなどの研究を行っている。
中国の科学技術レベルを世界に示した、1966年の牛インスリンの人工合成にも大きく貢献している。
(2)主な研究組織
分子細胞科学卓越イノベーションセンターの主な研究組織は以下のとおりである。
・分子生物学国家重点実験室(分子生物学国家重点实验室)
・細胞生物学国家重点実験室(细胞生物学国家重点实验室)
・中国科学院システム生物学重点実験室(中国科学院系统生物学重点实验室)
5. 研究所の規模
(1)職員数
2021年現在の職員総数は458名で、中国科学院の中で30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)予算
2021年予算額は4億8,124万元で、中国科学院の中では30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)研究生
2021年現在の在所研究生総数は644名で、中国科学院の中では第26位である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
6. 研究開発力
(1)国家級実験室など
2つの国家重点実験室を有している(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
・分子生物学国家重点実験室(分子生物学国家重点实验室):1987年に設置された。遺伝子発現とエピジェネティック制御、RNA代謝・機能および制御、シグナル伝達ネットワークにおけるタンパク質機能と制御を研究している。
・細胞生物学国家重点実験室(细胞生物学国家重点实验室):2013年に設置された。細胞の増殖、分化、アポトーシス、運動性などの基本的生命活動とその分子制御ネットワークの構成要素、相互関係、制御メカニズム、疾患との関係を研究している。
(2)NSFC面上項目獲得額
NSFC一般プログラム(面上項目、general program)の獲得資金額は、中国科学院の中では20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
7. 研究成果
(1)Nature Index
Nature Index2022では、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)特許出願数
2021年の特許出願数は65件で、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)成果の移転収入
2021年研究成果移転収入は、中国科学院内の9位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(4)両院院士数
2024年2月時点で所属する両院の院士は10名であり、中国科学院全体で第7位である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
〇中国科学院院士(10名):刘新垣、洪国藩、裴钢、戚正武、张永莲、林其谁、王恩多、李林、徐国良、李劲松
参考資料
・分子細胞科学卓越イノベーションセンター HP https://cemcs.cas.cn/
・中国科学院HP https://www.cas.cn/
・中国科学院統計年鑑2022 中国科学院発展企画局編