中国は中国共産党による一党支配の国家であり、憲法に「中国共産党が国家を領導する」と明記されていて、中国共産党が国家を指導している。中国共産党の組織を示したのが次図である。

中国共産党の組織図

 全国で約9,700万名の党員を擁する中国共産党において、その意思決定の最上位機関は全国代表大会(党大会)である。この党大会で党規約の修正などの重要事項の決定や、後述する中央委員会など重要機関の人事を決定する。党大会は5年に1度、1週間程度開催される。直近の党大会は、2022年10月16日から10月22日まで北京の人民大会堂で開催され、中国全土から約2,300名の代表が参加した。

 党大会が開かれていない間は、党大会の下部機構となる中国共産党中央委員会が、党運営と国家への指導に責任を持つ。この中国共産党中央委員会を、「党中央」とか「中共中央」と略称することがある。現在の第20期中央委員会の中央委員は2022年開催の党大会で選出された205名であり、併せて選出された中央委員会候補委員は173名である。この中央委員会の委員・候補委員が集まる全体会議(中全会)は年1回の開催であり、中全会で選出された党中央政治局とその上位機関である党中央政治局常務委員会が職権を代行する。党中央政治局のメンバーは全体で24名である。常務委員会のメンバーが中国共産党及び国家の最高指導部であり、2024年1月現在、最高位で総書記の習近平、李強、趙楽際、王滬寧、蔡奇、丁薛祥、李希の7名である。

 総書記は、中央政治局のトップとして中央政治局会議および常務委員会会議を招集し、事務処理機関である中央書記処の活動を主宰する。江沢民がこの役職を務めて以降、国家主席と人民解放軍を指導する中央軍事委員会主席を兼務し、党運営と国家指導に係わる実権を掌握している。現在の総書記は習近平で、2012年12月からこの地位にある。

 中央委員会を支える複数の事務的な直属機関があり、中央弁公庁、中央組織部、中央宣伝部などが重要である。

 中国では、中国共産党が国家の様々な政策に深く関与しており、科学技術イノベーション政策についても、中国共産党が国家の行政部門である国務院を指導し、または共同で政策の策定に当たっている。また、国務院の各部署、研究機関、大学などの組織内に「党委=中国共産党委員会」と呼ばれる組織があり、党委は中国共産党を代表してその組織を指導する。党委のトップである書記は、当該組織の長である主任、所長、学長などと同一人物の場合もあるが、まったく別の人物が就任している場合もある。

(参考資料)
・共産党員网HP  http://www.12371.cn/
天児 慧『「中国共産党」論~習近平の野望と民主化のシナリオ』NHK出版 2015年
山崎雅弘『中国共産党と人民解放軍』朝日新書 2019年