1. 分野別の比較

 以下に、順次結果のみを列記していく。

(1)環境・エネルギー分野

全体  欧州~米国>日本~中国>韓国
基礎  欧州~米国>日本~中国>韓国
応用  欧州~米国>中国~日本>韓国

 

○分野全体

 日本米国欧州中国韓国
22414820
4222193524
101636
×

○基礎

 日本米国欧州中国韓国
122224
22111714
1016
×

○応用

 日本米国欧州中国韓国
10192412
20141810
20
×

(2)システム・情報科学技術分野

全体  米国>欧州>中国~日本>韓国
基礎  米国>欧州>日本~中国~韓国
応用  米国>欧州~中国>日本>韓国

○分野全体

 日本米国欧州中国韓国
12543016
40332422
141829
×

○基礎

 日本米国欧州中国韓国
2613
19191514
1112
×

○応用

 日本米国欧州中国韓国
281712
211417
17
×

(3)ナノテクノロジー・材料分野

全体  米国~欧州>日本~中国>韓国
基礎  米国~欧州~日本>中国>韓国
応用  米国~欧州>日本~中国>韓国

○分野全体

 日本米国欧州中国韓国
29494020
4021284030
1031
×

○基礎

 日本米国欧州中国韓国
20262112
1510151918
15
×

○応用

 日本米国欧州中国韓国
2319
2511132112
16
×

(4)ライフサイエンス・臨床医学分野

全体  米国>欧州>日本~中国>韓国
基礎  米国>欧州>日本>中国>韓国
応用  米国>欧州>日本~中国>韓国

○分野全体

 日本米国欧州中国韓国
21654812
39223827
101636
×

○基礎

 日本米国欧州中国韓国
153324
17112216
15
×

○応用

 日本米国欧州中国韓国
3224
22111611
1121
×

2. CRDSの2019年調査

 前記の分野別比較の元データとなる、CRDSの2019年国際比較の調査方法について、概略を述べる。

(1)俯瞰報告書と国際比較

 2019年の俯瞰報告書の場合には、①環境・エネルギー分野、②システム・情報科学技術分野、③ナノテクノロジー・材料分野、④ライフサイエンス・臨床医学分野の4分野に分け、その分野ごとの研究開発状況を整理し可視化した俯瞰報告書を作成している。

 この俯瞰報告書では、CRDSの関係者がそれぞれの分野の専門家との意見交換やワークショップを通じて研究開発現場で共有されている情報を確認し、主要国(原則として日本、米国、欧州、中国、韓国)を対象とした研究開発領域ごとの国際比較を掲載している。

(2)国際技術力比較の詳細

①研究開発領域ごとの比較
 技術力の比較は、基礎および応用・技術開発という2つの観点で行っている。
・基礎:大学 ・ 国研などでの基礎研究レベル
・応用:研究・技術開発(プロトタイプの開発含む)のレベル

 これらに関する各国の技術力の「現状」を、◎:他国に比べて顕著な活動・成果が見えている、 ○:ある程度の活動・成果が見えている、 △:他国に比べて顕著な活動・成果が見えていない、 ×:特筆すべき活動・成果が見えていない、の4段階で行っている。

②国・地域
 国、地域のカテゴリーは、原則として、日本、米国、欧州、中国、韓国とし、その他の国、地域は必要に応じて追記している。

(3)全体の研究開発領域数

 2019年の俯瞰報告書の4つの分野における研究開発領域数は、下記に示すとおり全体で141に上っている。これらの詳しい研究開発領域名は、別添の参考に示すとおりである。これらの研究開発領域に関して、2年の期間をかけて国内の専門家の英知を結集してとりまとめている。

分野研究開発領域
環境・エネルギー37
システム・情報科学技術33
ナノテクノロジー・材料36
ライフサイエンス・臨床医学35
合計141

参考1 CRDSの報告書及び掲載HP

・「研究開発の俯瞰報告書 統合版(2019年)~俯瞰と潮流~」 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター 2019年7月
・掲載HP  https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2019/FR/CRDS-FY2019-FR-01.pdf

参考2 各分野の研究開発領域名  

 CRDSが2019年に実施した研究開発の俯瞰調査において、調査4分野で取り扱っている研究開発領域を以下に列記する。

1.環境・エネルギー分野(37研究開発領域)

○エネルギー区分
エネルギー資源探査・開発技術
火力発電
CCU(Carbon Capture Utilization)
原子力利用
太陽光発電・太陽熱発電
風力発電
バイオマス利用
その他の再生可能エネルギー(地熱、海洋)
電気エネルギー利用
熱エネルギー利用
化学エネルギー利用
基礎化学品合成プロセス
燃焼
トライボロジー
エネルギーシステム評価

○環境区分
気候変動観測
気候変動予測
水循環
水処理
生物多様性・生態系の把握
生物多様性・生態系の管理・活用
環境分析・物質動態
除去・浄化技術
資源・生産・消費管理
リサイクルと循環利用
健康・都市生活

2.システム・情報科学技術分野(33研究開発領域)

○人工知能・ビッグデータ
機械学習
画像・映像解析
自然言語処理
AI ソフトウェア工学
意思決定・合意形成支援
データに基づく問題解決
計算脳科学
社会におけるAI

○ロボティクス
認知発達ロボティクス
生活支援ロボット
医療ロボット
海中ロボット
宇宙ロボット
インフラ保守・建設ロボット
災害対応ロボット
ソフトロボティクス
生物規範型ロボティクス
産業用ロボット
研究開発用ロボット
ナノロボット

○社会システム科学
計算社会科学
社会インフラマネジメント
サイバーフィジカルセキュリティ
社会システムアーキテクチャ
制度設計
サービスサイエンス

○コンピューティングアーキテクチャ
プロセッサアーキテクチャ
量子コンピューターサイエンス
データセンタースケールコンピューティング
データ処理基盤技術
サービスプラットフォーム
IoTアーキテクチャ
ブロックチェーン

3.ナノテクノロジー・材料分野(36研究開発領域)

○環境・エネルギー応用
太陽電池
蓄電デバイス
パワー半導体
ファイン触媒(CIケミストリー、人工光合成)
分離技術(気体と液体の分離技術、CO2分離技術、金属分離)
複合材料
極限環境材料・計測技術(宇宙分野、原子力分野)

○ライフ・ヘルスケア応用
バイオ材料
ナノ DDS・ナノセラノスティクス
バイオ計測・診断デバイス
バイオイメージング

○エレクトロニクス応用
超低消費電力(ナノエレクトロニクスデバイス)
発光・表示デバイス
フォトニクス
スピントロニクス
MEMS・センシングデバイス
三次元ヘテロ集積
ロボット基盤技術

○物質と機能の設計・制御
空間空隙設計制御
分子技術
元素戦略・希少元素代替技術
データ駆動型物質・材料開発
マテリアルズ・インフォマティクス
フォノンエンジニアリング
量子技術
二次元機能性原子薄膜
生物機能インスパイアード材料・システム

○共通基盤科学技術
微細加工プロセス
積層造形・レーザー加工
接着技術
ナノ・オペランド計測技術物質・材料シミュレーション

○共通支援策
ナノテクノロジーの ELSI/EHS、国際標準

4.ライフサイエンス・臨床医学分野 (35研究開発領域)

○基礎基盤科学技術 (分子・細胞、組織)
遺伝子発現機構(エピゲノム、RNA)
ゲノム編集
ケミカルバイオロジー
構造解析技術
オミクス(プロテオミクス、メタボロミクス、トランスオミクス)
一細胞オミクス技術、細胞系譜・地図技術
細胞外微粒子・エクソソーム
免疫科学
時間科学(体内時計)
老化科学
微生物叢(マイクロバイオーム)
感覚器科学
脳・神経科学

○分析・計測技術(医療機器)
電子顕微鏡
光学イメージング
生体イメージング(MRI、PET/SPECT、NMR)
生体分子計測技術
ヘルスケア IoT(バイオ計測、センサー、ウエアラブル)
計測データ解析(AI)

○ホワイト・グリーンバイオ技術(食料・農水産業、生物生産等)
環境微生物学・合成生物学
植物・農業
水産
畜産
機能性物質・食品

○創薬、診断・医療技術
中分子医薬
高分子医薬(抗体、核酸)
AI 創薬・創薬インフォマティクス・インシリコ創薬
遺伝子治療・細胞治療
再生医療
オルガノイド・臓器チップ
診断技術・バイオマーカー(リキッドバイオプシー、疾患オミクス)
診断技術・がんゲノム医療
生活習慣病(CKD、COPD、NASH)
精神・神経疾患
感染症(ワクチン・アジュバント・抗菌薬・抗ウイルス薬など)