はじめに

 生態環境部(生态环境部、Ministry of Ecology and Environment)は、中国国務院の組成部門(日本の各省に相当)の一つであり、環境保全と原子力安全を担当する役所である。日本の環境省に相当する。

生態環境部の建物
生態環境部   維基百科HPより引用

1. 名称

〇中国語:生态环境部
〇日本語:生態環境部
〇英語:Ministry of Ecology and Environment

2. 所在地

 北京市東城区東長安街12号にある。長安街は、北京の中心である天安門広場の前を通る道路であり、生態環境部は天安門広場から200メートルほど東に行ったところにある。長安街をはさんで向かい側に北京の繁華街である王府井がある。

3. 沿革

 国際的な環境保護の高まりを受けて、1973年に国務院に環境保護領導小組が設置され、1988年には国務院の独立局として国家環境保護局(局長は副大臣クラス)が設置された。
 1998年に国家環境保護総局(局長は大臣クラス)に格上げされた。

 2008年には国務院の組成部局に格上げされ、環境保護部(部長は大臣クラス)が設置された。2018年には生態環境部と名称が変更され、現在に至っている。

4. 任務

 生態環境の基本政策、生態環境問題の調整、環境汚染物質の排出規制、気候変動への対処、生態環境モニタリング、原子力安全などを担当している。

 原子力安全業務に関しては、従来独立した国務院の部局である「国家核安全局」が担当していたが、2018年の機構改革に伴い、同局は生態環境部の内部組織となった。ただ同局は、中国独特の制度である「一機関両名組織(一个机构两块牌子、One institution with two names)」に従って、現在も国家各安全局」の名称で国際的な活動を行っている。

5. 組織

(1)内部部局

 内部部局のうち、科学技術に関係すると思われる組織は次のとおりである。
・科技・財務司(科技与财务司)
・自然生態保護司(自然生态保护司)
・水生態環境司(水生态环境司)
・海洋生態環境司(海洋生态环境司)
・大気環境司(大气环境司)
・気候変動対応司(应对气候变化司)
・土壌生態環境司(土壤生态环境司)
・固体廃棄物・化学物質司(固体废物与化学品司)
・原子力施設安全監督司(核设施安全监管司) 国家核安全局所属
・原子力発電安全監督司(核电安全监管司) 国家核安全局所属
・放射線源安全監督司(辐射源安全监管司) 国家核安全局所属
・環境影響評価・排出管理司(环境影响评价与排放管理司)
・生態環境モニタリング司(生态环境监测司)
・生態環境法執行局(生态环境执法局)

(2)直轄組織

  多くの直轄組織を有しているが、その中で重要と考えられる組織は次のとおりである。
・中国環境科学研究院(中国环境科学研究院)
・原子力・放射線安全センター(核与辐射安全中心)

参考資料

・生態環境部HP  http://www.mee.gov.cn/
・国家核安全局HP  https://nnsa.mee.gov.cn/