はじめに
上海応用物理研究所(上海应用物理研究所、Shanghai Institute of Applied Physics)の前身は、1959年に設置された中国科学院上海原子核研究所であり、2003年に現在の名称となった。
溶融塩炉、トリウムサイクル、原子力・放射線の総合利用などの研究を行っている。

1. 名称
○中国語表記:上海应用物理研究所 略称 上海应物所
○日本語表記:上海応用物理研究所
○英語表記:Shanghai Institute of Applied Physics 略称 IAP
2. 所在地
上海応用物理研究所の所在地は、上海市嘉定区嘉羅公路2019号である。甘粛省の武威に支部を有する。
3. 沿革
上海応用物理研究所(上海应用物理研究所、Shanghai Institute of Applied Physics)の前身は、1959年に設置された中国科学院上海原子核研究所であり、2003年に現在の名称となった。
4. 組織の概要
(1)研究分野
上海応用物理研究所は、中国の原子力総合機関の一つとして、溶融塩炉、トリウムサイクル、原子力・放射線の総合利用などの研究を行っている。。
(2)主な研究組織
上海応用物理研究所の主な研究組織は以下のとおりである。
・トリウム原子核分裂国家重点実験室(钍基核裂变能全国重点实验室)
・中国科学院放射線・原子力技術重点実験室(中国科学院核辐射与核能技术重点实验室)
・中国科学院微視的界面物理・検出重点実験室(中国科学院微观界面物理与探测重点实验室)
・中国科学院上海大科学センター(中国科学院上海大科学中心)
・中国科学院先端原子力イノベーション研究院(中国科学院先进核能创新研究院)
5. 研究所の規模
(1)職員数
2021年現在の職員総数は711名で、中国科学院の中で30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)予算
2021年予算額は4億7,313万元で、中国科学院の中では30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)研究生
2021年現在の在所研究生総数は505名で、中国科学院の中では30位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
6. 研究開発力
(1)国家級実験室など
1つの国家重点実験室を有している(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
・トリウム原子核分裂全国重点実験室(钍基核裂变能全国重点实验室):2025年に設置された。トリウム系の燃料を用いた原子力技術開発を行う予定である。
(2)大型研究開発施設
中国科学院は、同院や他の研究機関の研究者の利用に供するため大型の研究開発施設を有している(中国科学院内の設置状況詳細はこちら参照)。上海応用物理研究所は、次の2つの大型研究開発施設を有している。これらの施設はいずれも、上海高等研究院が運営する上海光源に付置されている。
・上海光源ビームライン実験ステーション(上海光源线站工程):浦東新区にある上海光源に付置される16本のビームラインで、シンクロトロン放射実験を行う総合的な学際研究プラットフォームとして、上海光源をサポートする。

・上海軟X線自由電子レーザー装置(上海软X射线自由电子激光装置):浦東新区にある上海光源に付置される施設で、1.5GeV電子線形加速器、アンジュレータ、ビームラインステーションなどを有する中国初のX線自由電子レーザー施設である。2022年に供用開始した。

(3)NSFC面上項目獲得額
NSFC一般プログラム(面上項目、general program)の獲得資金額は、中国科学院の中では20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
7. 研究成果
(1)Nature Index
Nature Index2022では、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(2)特許出願数
2021年の特許出願数は96件で、中国科学院内の20位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(3)成果の移転収入
2021年研究成果移転収入は、中国科学院内の9位までのランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
(4)両院院士数
2024年2月時点で所属する両院の院士は4名であり、中国科学院のランキング外である(他の研究機関との比較の詳細はこちら参照)。
〇中国科学院院士(3名):沈文庆 、马余刚 、樊春海
〇中国工程院院士(1名):赵振堂
参考資料
・上海応用物理研究所HP http://www.sinap.cas.cn/
・中国科学院HP https://www.cas.cn/
・中国科学院統計年鑑2022 中国科学院発展企画局編