中国の軍隊である人民解放軍も、中国の政策立案において重要である。中華人民共和国建国の歴史的な経緯から、人民解放軍は国家の軍隊というよりは中国共産党の軍隊という色彩が強い。
人民解放軍を指導する機関である(中国共産党)中央軍事委員会は、中国共産党の下部機関として設置され、人事権も当然共産党が有している。国の軍隊としての形式を整えるため、全人代も(国家)中央軍事委員会を下部に設置しているが、(中国共産党)中央軍事委員会委員と同一の人物が委員に選任される。従って、両方を総称して中央軍事委員会と呼ばれている。2024年1月現在の中央軍事委員会は7名で構成され、主席が中国共産党総書記で国家主席である習近平が務め、副主席2名、それ以外の委員4名となっている。
中央軍事委員会、人民解放軍の主な組織を図示したのが下図である。
中央軍事委員会の指導の下に人民解放軍があり、陸軍、海軍、空軍、ロケット軍、戦略支援部隊などが置かれ、後方支援として後勤保障部、装備発展部、軍事科学院などが置かれている。
科学技術は国防技術に大きな影響を与えるため、中央軍事委員会や人民解放軍は、これまでにも様々な科学技術政策立案に関与している。とりわけ、文化大革命終了までの中国の科学技術上の大きな成果と評価が高い「両弾一星政策」は人民解放軍の貢献なしには達成できなかった。現在においても、宇宙開発や原子力開発などはもちろん、AI、ドローン、ロボットなどのハイテク技術開発は最先端軍事技術に直結しているため、中央軍事委員会や人民解放軍も積極的に関与し、資金や人材面での貢献を行っている。
(参考資料)
・中国軍网HP http://www.81.cn/